カテゴリー「関連書籍紹介」の42件の記事

2011年6月29日 (水)

変転の合理―――アララな生活3

えいりあん・めもらんだむ

 インスリンは、血糖値を下げるホルモンである。
 グルカゴンは、血糖値を上げるホルモンである。

 ここの読者の大半は、こういう認識なんじゃない?
 とすると、高インスリン血になっている人以外は、グルカゴンを忌み嫌う?

 でも、べつに血糖値を上下させるために、これらのホルモンがあるわけではなくて、血糖値の変化は各ホルモンの作用の結果だと考えたほうがいい。本来の作用は、

 インスリンは、アナボリック(同化)ホルモンである。
 グルカゴンは、カタボリック(異化)ホルモンである。

 アナボリック(同化)作用というのは、食べた栄養(エネルギー)から身体を作ること。
 カタボリック(異化)作用は、身体を分解してエネルギーにすること。

 カタボリック、と聞いただけで拒絶反応を起こすのは、筋トレやっている人。
 ウエイト・トレーニーにとって、カタボることは故障することと並ぶ恐怖の対象だから。

 休日だけのなんちゃってトレーニーの私でも、カタボリックの文字にはビビるもん。

 でも、よく調べると、話は変わるのだ。

長文注意報! 興味とお時間のある方は、お進みください。

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2011年6月 4日 (土)

不都合な真実―――アララな生活2

えいりあん・めもらんだむ

 実験データが取れない時は、文献を読んでレヴュー・ワークせよ、とかつてのボスは言った。

 かもしれない、ばかりの仮説など、人目にさらす価値はないもんね。
 そもそも「仮説」とは、過去のすべてのデータを包含した上で、なおかつ定説よりももっともらしい新モデルのことだ。勝手に想像しただけのファンタジーなら、自分のPCに保存しておけばいいのであって、広く全世界に公開する必要なんかない。

 肉だけを食べて、血中ホルモン濃度を追跡した文献を探したのだけれど・・・、見つからないのよねえ。だけ、って実験デザインが無いの。

 仕方がないので、食事のPFC(タンパク質-脂質-炭水化物)比率を変えた実験のデータを見てみた。

長文注意報! 興味とお時間のある方は、お進みください。

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2011年3月 9日 (水)

ダメージ・コントロール : 運動と血糖調節4

えいりあん・めもらんだむ

 運動で血糖値が上がる。
 いくらハードな無酸素運動をやったといっても、未だ境界型でインスリン感受性は抜群に良いと言われている身体にもかかわらず、血糖値が上がる。それも、少々の糖質を食べて上がる場合より、よほど急峻なグルコース・スパイクだって出せる。

 ・・・これはショックだったわよ。
 
 まあ私はIGT(耐糖能異常)だからそういうことも起こり得るとしても、耐糖能正常な陸上選手が朝食前の長距離ランニングで糖新生させたら、食後より高い血糖値になったというデータ(→過去記事:アドレナリン・ハイで紹介)には、さらにショックを受けたわよ。

 私の例では、加圧+ウエイトトレーニングで血糖値を上げたのは、グルカゴンと成長ホルモンとアドレナリンだった。これに対して、血糖値を下げるホルモンは、インスリン・・・だけ

 もちろん、運動時の筋収縮で細胞表面に出てきたGlut4によるインスリン非依存的な血糖取り込みで下がる分もある。私にできる筋力トレーニングの強度なんて実はたいしたことなくて、無酸素運動と呼ぶには恥ずかしいレベルだから、このメカニズムもきっと働いているはず。加圧トレのエクササイズが5種目、各75回の筋収縮。その後の筋トレは種目により30回とか45回とか60回の筋収縮で、6種目。もっと軽負荷・高回数のグループ・エクササイズで血糖取り込みできる事前摂取カーボ量25 g相当の、半分~2/3は取り込める運動だというのが、私の実感なんだけれどなあ・・・。

 しかし、今は運動による筋肉への取り込み分はちょっと脇に置いておいて、ホルモン作用について考えてみよう。

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2010年11月17日 (水)

西欧の正常――続・耐糖能の日内変動2

えいりあん・めもらんだむ

 YCATさんが新作記事の3つや4つや5つアップしてくれるだろうという期待が裏切られ続けること半月余、あまり間が開くのもよろしくないので前編の続きを書きましょうかね。

 朝食後の血糖値上昇が1日のなかで最も大きいと紹介されていた、欧米の健常人のCGM(持続血糖モニタリング)の検証。オリジナル論文はこちら。(私って、他人の引用は、基本的に信用しないのよね。)

 ドイツはUlm大学のチームの仕事。ロシュが協力。
 被験者は24人の健康ボランティア。男女12名ずつ。年齢27.1±3.6歳(若い!)、BMI22.6±1.7。糖尿病でもIFG(空腹時高血糖)でもIGT(耐糖能異常)でもなく、特に慢性疾患もなく、妊娠中でも授乳中でもなく、抗凝血剤の服用もしておらず、アルコールないし薬物依存が疑われることもなく、きついアレルギーも出ていない人たち。
 もちろんHbA1cも正常で、5.0±0.2 %。
(ここで、20代の耐糖能正常者でもHbA1c4.8~5.2 %なら自分とあまり変わらないじゃん♪と思ったIGTなアナタは、深く反省するように。これはドイツのデータだから、HbA1cは当然NGSP値。JDS値では、およそ4.4~4.8 %に相当する。)

 24人のみなさんに1日目の夜にCGMを装着して、2日目と3日目は実験用のメニューの朝食・昼食各2パターンを食べてもらい(夕食はバイキングですって)、4日目は各自帰宅していつもの食事をしてもらう(ただし食事時間は指定)という実験プロトコル。

 朝食後にいちばん血糖値が上がったというデータはこれ。各自おうちでいつもの食事を摂った日の測定。

G_cgm_everydaylife

 装置の不具合でデータが取れなかったのが3人いたそうで、残り21人のCGM結果を平均したのが真ん中の太い線。
 なるほど、朝のピークが一番高くて、次が夕食で、昼が最低。

 さてさて、前記事を読んでくれた方なら、ここでどう突っ込むかはおわかりですよね?

 おうちに帰って、何食べたのさ?


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2010年10月29日 (金)

アジアの耐糖――続・耐糖能の日内変動1

えいりあん・めもらんだむ

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 『食後高血糖UPDATE』という特集タイトルに惹かれて、お値段に目をつぶって月間糖尿病9月号を買ったのは8月の下旬。すぐに通読したのだけれど、結局のところ、

 食後血糖値の上昇そのものが悪いのか、血糖変動の振幅が大きくなることが悪影響を与えるのか、それとも耐糖能異常のもととなっている病態生理、インスリン分泌の低下や遅延、インスリン抵抗性やそれに伴ういろいろな代謝異常の組み合わせなどがもっと重要で、食後高血糖はそれを示すひとつの指標とみなすべきなのか、疑問は多い。
(葛谷健、"食後高血糖をめぐって:その意義と糖尿病の診断" 月間糖尿病2010年9月号p.24-29)

ということを再認識しただけだったので、他に書きたかった記事3本を優先していたら、2ヶ月も経ってしまった。

 今さら感いっぱいだけれど、ひとつとても気になる記述があったので9月号のネタを。

 私の耐糖能は、朝は良好で、昼はめちゃくちゃ弱く、夜になると普通の(?)2型糖尿病患者なみになるという日内変動を示すということは、過去に何度も書いた。この現象に気づいたのは、自分の耐糖能異常が発覚して間もない頃で、当時ある糖尿病専門医の先生のサイトに書き込んだら、

一般的にはインスリン拮抗ホルモンが分泌される朝~午前中が一番インスリンが効きにくい、つまり血糖値が下がりにくく、活発に活動する日中がもっともインスリンが効きやすい、つまり血糖値が上がらない

と言われて、逆パターンである自分は例外的存在なのだと思っていた。

 ところが・・・

 CGMを用いた健常人での1日血糖プロファイルの報告によると、欧米人では朝食後の血糖値上昇が1日のなかで最も大きいのに対し、日本人や中国人では決してそうではなく、むしろ朝食後よりも昼食後と夕食後の血糖値上昇が大きいことが指摘されている。
(税所芳史、伊藤裕、武井泉、"糖尿病の管理における食後高血糖の重要性" 月間糖尿病2010年9月号p.58-69)

ですって!!

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2010年5月25日 (火)

ドクター・ヘリは日本じゃ飛べない?

 いや、まいりました。
 昨年3月公開の映画、海堂尊原作の医療ミステリー『ジェネラル・ルージュの凱旋』に仰天。

 思うところは多いけれど、語るには大事(おおごと)すぎる(´ヘ`;)
 続きは『不機嫌なジーン』以来、ボケ役の竹内結子さんのファンの語りでしかありません。ちょっとこのブログの趣旨とは、ずれています。スルーして下さい。

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2010年4月30日 (金)

コーン・イン・ザ・USA―――『雑食動物のジレンマ』に寄せて

えいりあん・めもらんだむ

 アメリカ人の身体はトウモロコシで出来ている―――

 マイケル・ポーランは3部構成の著書『雑食動物のジレンマ―――ある4つの食事の自然史』の第一部、訳書にして140ページを費やして、この命題を証明する。

Dilemma

 肉じゃないの? アメリカ人って牛肉たらふく食べるんでしょ?

と思ったアナタ。牛に与えられる飼料がトウモロコシなのですよ。

 小麦じゃないの? アメリカの主食はパンでしょ?

と思ったアナタ。確かに主食は小麦のパンなのだけれど、現代アメリカでは主食以上に多くの加工食品が消費されていて、その加工食品にはコーンスターチやコーンシロップが大量に入っているのですよ。ちなみに日本の食品成分表示では、コーンシロップは「ぶどう糖果糖液糖」やら「異性化液糖」やら。これらの言葉は、お馴染みのはず。

ご注意:このエントリはマニア向けです。意味不明の単語はスルーしてください。

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2010年4月 5日 (月)

神戸赤十字病院で食事指導を受ける方に警告

 糖尿病歴が長くなって経験を積むと、わかりきった記事の繰り返しばかりで、最近はほとんど読むところがない。
10040400 日本糖尿病協会機関誌さかえ4月号。
 ネタにもならない昨今、もう、やめちゃいたいのだけれども、ネット弱者もまだまだ多いし、初心者にとっては最初の助け舟。
 しょうがないと、会費を寄付しているようなものだけど、あまりにも、あまりにもお粗末。

 そんなに合併症患者を増やしたいのか? 日本糖尿病協会! 
 編集の実務を担当している時事通信は、糖尿病については、どシロウト集団でしかないはず。
 どっちにしろ記事の責任は、全部、編集委員の方たちが負うべきもの。24人(もいる! 連帯無責任?)全員の本職を調べてみようかととも思ったが、面倒だし、それで事実がわかるとも言えない。
 だれが、栄養学に詳しいの?
 誰もいないから、こんな記事を止められなかったの?
 あれ? そもそもチェックもしていないorできない? 

 神戸赤十字病院は専門外来こそないが、糖尿病代謝内科はあるな……日本糖尿病学会認定の専門医・指導医、日本糖尿病協会認定の療養指導医もいるようだ。
 糖尿病療養指導士がいて、糖尿病教室や糖尿病教育入院を中心としたチーム医療もやっている……。
10040466_2
 じゃあ、どうして、こんな記事を書けるんだ?
 どっきりってか、ついに来てしまった「糖尿病ですね」宣告で、お先真っ暗、路頭に迷っている羊さん。
 ご無理ごもっとも、なんでも(とりあえず)牧羊犬 医師に栄養士の先生方の仰せに従いますと、一見すなおな(?)優良羊たち。
 そんな方たちを血糖値を上げる道に導いてしまっている――食事療法開始後の、ヘモグロビンA1cの推移を、先生から聞いていないの? 

 75gのカーボ摂取後の血糖値が200mg/dl越えしてしまったからこそ、糖尿病診断された。OGTT ブドウ糖(グルコース)負荷試験ってのは、それを証明するために、遅延要素のない純カーボ――ブドウ糖(グルコース)だけの呑んでみる検査――だったよね?
 それなのに、ああ、それなのに。
 どうして75gカーボ(推定ご飯量200g、食品交換表4単位)以上の弁当を、患者に推奨できるのだろう? 表6の野菜不足は、食物繊維の吸収遅延効果が10%以下でしかない以上、どっちにしろ役に立たない。脂質は、それなりにあるけど、カーボ――血糖になる原料が多すぎるから、どっちにしろ高血糖になる。これを私が食べる場合は、食前にインスリンを2単位打たねばなるまい。
 そのような患者の方が圧倒的に多いはずだ。
 福井俊宏栄養課長は、それをご存知ないのだろうか? 
 わかっていても、そう書くのは医療行為だから、できないのは理解する。でも、せめて「食べたら、食後SMBG(血糖自己測定)をしてみましょう」くらい言ってもいいんじゃない? 

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2010年1月28日 (木)

50歳医師。新時代のゾウなで人登場。

10012601_2 『インスリン注射も食事制限もいらない
 糖尿病最新療法』
 岡本卓 著 2009/09刊角川SSC選書

 これは非常に危険な本である(´ヘ`;)
 ごはんは今まで通り食べたい/インスリン注入は面倒、服薬がいいな/(やったことないけど)運動を頑張るから面倒見て! 
 2型糖尿病発症患者の大多数のそんな願望にぴったり迎合した形になっている。

 合併症回避への最後の手段としてのインスリン投与時代があって、その記憶がナマナマしくてベテラン糖尿病患者の投与拒否「インスリンだけは勘弁して」時代が続き、患者が頼んでも医師がインスリン投与を認めてくれない現実がまだあるってのに、「やめられる」だあ?
 どシロウトだね(´ヘ`;)

 インスリン注射をしていて、さらに飲み薬を足していった場合、すでにインスリンが体の中に充満した状態になっているのでp171

 ええっ?
 
 1型患者を含めたIDDM(インスリン依存糖尿病)の方にはショッキングな文章が続出。買わない方がストレスになりません。
 やりすぎて、無自覚低血糖を頻繁に起こしている人には、教訓になるかもしれない。
 下げればいいってものじゃないのだそうだ。そりゃそうだ。
 岡本先生が熱意にあふれていることは確かです。でも肝心なポイントが抜けているので、まさしく<群盲ゾウをなでる>状態で、しっかり勉強もしているんですが……その分、逐一、チェックしなければなりませんでした……長えええええ(さらに追記しました)えええよ(´ヘ`;) 

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2009年8月25日 (火)

糖尿病を借りてきた猫にする方法

09081007 おお、文句なし! 
 これは、3年越しの杉本先生の労作。

 『糖尿病でもおいしく食べる』
 中外医学社TOP 2009/7/25発行

 現時点での血糖管理術のすべてが、ここに揃っている。
 しかも、うじゃうじゃのごたくだけじゃない。
 全部裏付けデータ付だ。
 糖尿病に関わる関係者、医師、コメディカル(看護師、栄養士、臨床検査技師、理学療法士)は絶対読まねばなるまい。
 もちろん、患者サイドは当然――だって、耐糖能異常(IGT)を管理するのは、結局自分なんだから。

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