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2012年2月 3日 (金)

クライシス1:骨を折り、身を削る

えいりあん・めもらんだむ

 昨年12月はついに1本の記事もアップできなかった。
というのも私事で恐縮だが、11月下旬から怒涛の入院患者家族月間だったから。

 まず母が大腿骨頚部を転倒骨折した。
 骨粗鬆症を持つ高齢者にはよくある話で、手術しない限り寝たきりになってしまう。
 が、認知に問題のある高齢者を入院させてくれる病院は少ないのも、よくある話。

 こういうときのために2箇所の病院に定期的に通院してカルテを更新していたのに、今は、整形外科医も足りないのね。びっくり。どちらの病院も整形外科の体制不充分で受け入れ不可。

 開業医から紹介された病院では高齢・高リスクを理由に断られた。
 リスクって、糖尿病・心房細動・高脂血症・高血圧・脳梗塞の既往・脳梗塞後遺症としての認知症・・・

 そりゃ、まあね。
 でも、そのまま寝たきりにしたら、1年以内に死ぬ率はおよそ1割。骨折は死に至る病なんだよ。

長文注意報! 興味とお時間のある方は、お進みください。

 糖尿病とはいえ直近のHbA1Cは5.7 %だし、血中脂質も血圧も良好にコントロールされているし、大丈夫、今の母の状態なら手術できる、と素人の私が勝手に決めて入院手術引き受け先を探す。

 ここから始まる長ーーーい話は全部省略して、いろいろ検査して、循環器科と麻酔科にコンサルして、OKが出たら手術しましょうという病院に入院。ただし、個室に入って家族が付き添うことが条件。要するに、認知の面倒は見られません、ということ。

 ここで、付き添い? 完全看護じゃないの? と疑問に思った方、あなたの知識は正しい。
 でもね、蛇の道は蛇。
 (看護体制の手薄な病院での)認知症高齢者の完全看護は身体拘束に直結するのよ。
 服役中の犯罪者だって房の中では自由に動けるのに、何も悪事を働いていない高齢者を、脳が壊れたからといって縛るのはおかしいと私は思う
 私は母を関東の病院から今いる有料老人ホームに連れて来る時、もう決して拘束させないと約束したの。
 まあ本人は覚えちゃいない、どころか理解してもいないけれど。

 ともあれ、プロの付き添いさんも頼んだけれど、当然その方だけでは足りないし、事務関係の手続きをしたり医師からの説明を聞いたりするのは家族しか出来ないし、で私も病院泊まり込みやら朝夕面会やらの日々が始まったわけ。

 手術自体は整形外科的には簡単な部類に入るものだそうなのだが、いつ果てることもなく続くリスク説明。
 医師との面談40分のうち、手術に関することは10分だけで、あとは全部合併症リスクの話だったよ。

Operation

 自分の食料を持ち込んで、付き添い。
 食堂も売店もない病院だったせいもあるけれど、あったとしても病室から離れられないから無意味。
 点滴引っこ抜き阻止、カテーテル引っこ抜き阻止、ベッド柵乗り越え転落予防。
 ええ、手は元気なんだもの。それに、もともと腕力の強い婆なんですよ。若い頃バレーボール選手だったもので。
 不安感の強い人なので、術前の検査期間はあまり眠ってくれなくて、夜の間ずっと手を握っていたり。
 あのー、こっちもトイレ行きたいんですけど。

 こんなときには、パンとかおにぎりとかクッキーとか、片手でひょいと食べられるものが便利なのよね。
カーボって常温保存の携帯食として優れているのだわ。
 でも、病室のベッドに貼りつく生活でそんなものを食べるわけにはいかない。

 家から持ち込んだのは、鯖の水煮缶詰、ゆでた鶏ささみ、チーズ、アーモンド、プロテインパウダー・・・
 野菜を持って行くのはちょっと無理だったから、ビタミンのサプリメント。

 どこのビルダー食かっつーくらい、高タンパク。体重1 kgあたりタンパク質2 gは余裕で越えている。

 でも、足りない。(u_u;;;
 ベッドサイドで一日過ごす生活だから、維持カロリーも減ってはいるはずだけれど、それでもちょっと不足。
いくら高タンパクでもカロリーが足りなければカタボってしまうじゃないの。(>_<;)
私ら耐糖能異常者の食後血糖は糖質摂取量に支配されるけれど、体重の増減はカロリー収支で決まるのよ。うーん、水煮ではなく油漬缶を買い溜めしておけばよかった・・・。

 会員になっているフィットネスクラブには全然行けない。
 けれど不幸中の幸いで、トレーナーさんの個人ジムが、病院と家の間にある。付き添いさんにバトンタッチした帰りがけなどに、せめて筋肉に刺激を入れるだけでもと、なんとか週に1回30分程度はトレーニングした。

 ・・・でも、維持できなかった。
 摂取カロリーが維持カロリーに満たなかったんだもん。体重が1 kgほど減った。

 子どものためなら、身をすり減らしてもいいと思うの。
 というか、妊娠も出産も授乳も、本来そういう営みだと思ってやったわよ。
 でも、自分より上の世代のために我が身を削るのは、間違っていると思う。生物学的に。

 入院患者家族やっていて何がストレスかって、絶対に風邪を引けないこと。
 感染性ウイルスを持ち込むわけにはいかない。
 退院まで決して気を抜けない。精神論とか根性論ではないよ。交感神経優位の生活をし続けるということ。付き添い中は夜も常に気配を感じ続けなくてはいけないから、どうせろくに眠れないし。
 ・・・身体に悪いし、長期間続けられることではないけれどね。

 人間関係もいつも以上にストレスになるよね。
 病院から出勤し、(上司には)謝りまくり(部下は)おだて上げ(社外関係先を)拝み倒して仕事を進める。
 あ、人間だけじゃないや、家に帰れば犬が散歩をねだって熱烈歓迎。

 5年前に母を療養型病院に入院させて以後は病院から呼び出されない限り面会に行かなかった弟に連絡したら、意外なことに、付き添いしに来るって。
 かつての罪滅ぼしのつもり? それとも、溺愛されていた子ども時代を思い出した?
 ともかく有難くシフトに入ってもらったが・・・・・・、妻子には日程を1日余計に偽って、不倫相手とどこかにお泊りしおった。(-_-メ)
 可愛がっていた息子がこんな下種な男になったと理解できるだけの知能を失っていて、よかったね、おかあさん。

 周囲の思惑とは超絶した世界に居る母本人は、医師も驚く順調な術後経過。
 さすがに手術翌朝は絶食していても血糖値160 mg/dlくらいまで上がっていたけれど、以後は早朝空腹時は100ちょいか2桁。きっと母のインスリン基礎分泌は私より多いんだろうなあ。病院の給食はカーボ60 %だから食後は200 mg/dl越えたり越えなかったりだったけれど、それでも翌朝にはしっかり下がっていて、もう途中から血糖値測定やめますと言われてしまった。かつてHbA1c2桁だった人なのに。

 術後はリハビリがあるのだけれど、担当の理学療法士さんは母とコミュニケーションを取れなくて指示が入らない様子だったので、早期退院。
 ちょうど持参薬が切れるタイミングだったので、同じ処方を頼んだけれど断られて、翌日大慌てで内科主治医を家族代理受診するはめになったけれど。(職場にはまた平謝りだよ。<(_ _)>)

 ・・・ああこれでやっと終わったと思った翌日。

 携帯に着信。

ガー*&#$・・・、えーこちら□□しきゅ・・・、ピ~ポ~ピ~ポ~@#$*&・・・

 はあ?
 ブチブチ切れるし、サイレンうるさいから、やり過ごしてから話してほしいんですけど。

・・ガー・・・ピ~ポ~ピ~ポ~、□□市救急隊ですけど、おたくの・・・、$*&+!・・・

 時間が経ってもドップラー効果が起こらない。これって搬送中の救急車の中からかかって来ているわけ??

 ・・・・・・夫が救急搬送された。


copyright (c) 2012- えいりあん
 転載厳禁。引用の際は、ブログ「血糖を管理する日々」に言及の上、リンクを張ってください。

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コメント

ご家族の方大丈夫でしょうか( ̄□ ̄;)!!記事アップされていたので、一先ず落ち着いた状況かなとコメさせていただきます。
『身体拘束』も法律的に曖昧な部分が多いです(;´∩`)
基本、個人の自由(身体&精神両面)を束縛することは禁止としつつも、『生命に危険が及ぶ場合、これに当てはまらず』的な。
結局、各施設の匙加減(監査加減?)じゃないか〜!と( ̄□ ̄;)
チューブ抜去も腹帯でカバー(経鼻だとどうしようかを考案中…)、転落もベッドの環境整備や離床頻度を高めて対応、そして『見回り』でカバー!家族の方に処置説明をしっかり行い…、なんて委員会で発言したら、
『マンパワーが足りません!』と大顰蹙買いました(´Д`)
人手が足りないのが一番の問題なのですかな(´Д`)
ならば、『やりましょう』の前に『こっちから動いちゃえ!』的に、褥創対策しっかりしてリハ室へ患者さんを大勢大進出!!(臥床状態がアカンのだ!…まあ、安静状態や体調不良時は様子を見ますが)
で、デイケア現場のようなリハビリ空間に様変り。
日中の身体拘束状況を作らない環境を作って様子見。
でも、フロアの姿勢(マンパワー以下略)は相変らず(´Д`)

ん〜、『夜間対応』を考えるのが先か、『勤務者の意識改革』が先か、と悩む今日この頃。

受入拒否につながらない病院作りを考えて試行錯誤な日々(トレーニングも試行錯誤してますが…)
気付くと、リハビリ科長になっていました。

投稿: 蝶々 | 2012年2月 5日 (日) 10:31

蝶々さん

 こんばんは。

 病院での身体拘束については、言いたいことは山ほどあります。

 だいたい、ベッドからの転落の危険があるのなら、ベッド使わなければいいのに。
 母の暮らしている有料老人ホームでは、転落の危険の大きい入居者さんは、蒲団に寝ています。離床センサーが鳴ったら職員が行って、立ち上がりを介助して、一緒に歩いてリヴィングに出ていらっしゃいます。
 病院でも、東京の超有名回復期リハビリテーション病院(長嶋茂雄やイビチャ・オシムが入院したところ)では、床から20cmくらいまで下がる特注ベッドで対応していました。
 そこまでやる気がないだけでしょ?

「縛るより檻のほうがまだ自由度が高いから、乗り越えられない高さの柵を付けて。座敷牢だったら、もっといいわ」
って私は言うの。そうすると、4点柵は拘束になるから使えないとか言われるの。
だから縛る、って本末転倒だと思わないのかしら。

 あとねえ、一番酷い拘束は、実はミトンです。
 意外? 見た目はたいしたことないですからね。
 でも、頭が痒くてもかけない、目やにが出ても目もこすれないのよ。チューブ引っ張る気が全くない時でも。

 ベルトをベッドに縛り付けるのは、かなり許容できますね。
 横向きくらいまでなら寝返り打てるから。

 こういうことは24時間見た人でないとわからないことなのかも知れませんねえ。


 でも、結局マンパワーの問題ですよね。
 現状ベストの7:1看護体制(といっても昼だけ)でもひとりで7人の患者を担当するんですから。24時間目が離せない患者がいるからといって、あとの6人を放ったらかすわけには行きませんものね。
 (母が入院した病院は、市内で救急引き受け第3位の救急病院でしたが、10:1でしたもん。そりゃケア悪いって。)

 だから目が離せない患者には、マンツーマンの付き添いを手配するしかない。家族でもプロでも。
 そこんとこ理解せずに、「完全看護でしょ!」と文句言う患者家族にも、私はムカつきます。
 ちょいと計算すればわかることでしょうに。

投稿: えいりあん | 2012年2月 5日 (日) 21:37

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