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2011年5月30日 (月)

肉食者の憂鬱―――アララな生活1

えいりあん・めもらんだむ

 最近、私の身体は、どうもグルカゴン分泌が亢進している気がする。
 もう少し正確に言うと、グルカゴン分泌が易刺激性になっている気がする。

 だって・・・、肉食で血糖値が上がるんだよ?!

 まあ問題になるほど高くなるわけではないのだけれど、とにかくだけを食べると私の血糖値は上がるのだ。

 ウソだぁ~、と思う? まあ、データを見てくれ。

長文注意報! 興味とお時間のある方は、お進みください。

 この記事で示すデータはすべて、私にとって耐糖能最弱の(=追加インスリンがもっとも出にくい)昼食時(→過去記事:真昼の血糖)のもの。

  0分  血糖値   78 mg/dl  Alara1_1
 鶏肩肉450 gを塩胡椒して、オリーブオイルで焼いて食べる。他に口にしたのは水だけ。

63分  血糖値  120 mg/dl

112分  血糖値  119 mg/dl

 糖質を食べていないのに、血糖値が上がっている。

Crnv_fig1

 血糖自己測定器の誤差?・・・にしては、上昇幅が大き過ぎる。
 いったい、これは何だ?

 追試だ、追試!

Alara1_2

 というわけで、豚肉だけ、とか。
 チーズ入りオムレツ(これは糖質が2 gほど入ったけれど)なんかも。
 全部まとめてグラフに載せると、こうなる。

Crnv_fig2

 誤差なら、逆に出る場合、つまり食後のほうが血糖値が下がるデータが1回くらい取れてもいいようなものだけれど、5回実験して血糖値は悉く上がった。

 外からグルコースを投入していないのに血糖値が上がったのだから、それは私の体内から出て来たのだ。

 ということは、また肝グリコーゲン分解かよっ!
糖新生ではない。朝の良好な耐糖能の恩恵をありがたく被って、朝食にはいつも50 gのカーボを食べている。(→過去記事:デザート・ロード)それから5時間ほどしか経っていない時間帯に、糖新生などするわけがない。)

 肝グリコーゲン分解が促進されたのだとすると、第一容疑者はやはりグルカゴンよねえ。

 再び、グルカゴンを調べる。といっても、安直にwikipediaだけど。

グルカゴンの分泌は低血糖により促進され、高血糖により抑制される。遊離脂肪酸によっても抑制され、アルギニンなどのアミノ酸によって刺激される。

 おっと、アルギニンなどのアミノ酸。これか?

Arginine

 鶏肉には、アルギニン多いもんなあ。

 うーん、アルギニンの味は嫌いなのだけれど・・・実験してみようかしらね。
 経口アルギニン負荷試験なんちゃって。

# 医学的なアルギニン負荷試験は、注射です。でもって、グルカゴンやら成長ホルモンやらの血中濃度を調べるの。血糖値ではなく。

 どれだけのアルギニンを投入すればいいんだろう?
 鶏肩肉(皮付き)のデータが見つからないのだけれど、胸肉(皮なし)胸部の皮のデータから概算すると、皮付き肩肉450 gに含まれていたアルギニンは・・・、ざっと6~7 gくらい? マジ? そんなに一気呑みするのイヤだよ。苦いんだもん。

 実験量は2 gに勝手に決定。根拠なし。

Arginine2

 アルギニンはアルカリ性だから、この量でも胃に負担になると予想されるのよねえ。怖いコワイ。空腹時に呑むな、と注意書きにあるくらい。でも、空腹時投入でないと、実験にならない。
 酸を事前投入して、胃を保護しよう。
 クエン酸を使いたかったのだけれど、純粋なものが手に入らなかったので、1 gのビタミンCで行くことにする。1 gという量は、これまた勝手に決定。根拠なし。

-3分  血糖値  88 mg/dl

-2分  ビタミンC 1 g 投入

  0分  アルギニン 2 g 投入(水約300 mlで飲む)

71分  血糖値 100 mg/dl

118分  血糖値  93 mg/dl

 ・・・微妙。誤差範囲内だなあ。

 胃に泣いてもらって、アルギニン単独で追試。

  0分  血糖値  99 mg/dl

0分  アルギニン 2 g 投入

45分  血糖値 112 mg/dl

67分  血糖値 102 mg/dl

 やはり、血糖自己測定器の誤差範囲内での上昇&下降。

 もう一度、今度は朝食後2.5時間で血糖値が113 mg/dlの時にビタミンCとアルギニンを呑んでみたら、この時は血糖値は(測定器の誤差範囲内で)下がっていった。

 まとめたグラフ。

Argn_stm

 苦い思いを3回もして得た人体実験の結論は、
アルギニンを呑んでも血糖値はあんまり変わらん。

 ・・・じゃあ、肉食との差はなんなんだろう・・・?

 単に、アルギニンの量が足りなかったのかもしれない。 6 g呑まなきゃいけなかったのかしらねえ・・・(ToT)
 いや、鶏肉にはアルギニン以外のアミノ酸も多くて、アミノ酸総量にすると1桁上がるから、グルカゴン分泌を促すアミノ酸刺激が絶対的に不足したと考えることもできる。

 それとも、膵臓のα細胞が血中アミノ酸濃度(血中アルギニン濃度)を検知して分泌させるグルカゴンではなく、固形物を食したことで腸管の細胞が刺激されて放出されるエンテログルカゴンの分が効いている可能性もあるのだろうか? 水と一緒にアルギニンを飲んだだけでは、腸はあまり動かなかっただろうから。

 朝食後2.5時間で事前血糖値が高かった時は、まだインスリン分泌が残っていてグルカゴン分泌が抑制されていたから、アルギニン2 gでは新たな分泌を起こす刺激としては不充分で、血糖値はそのまま下がり続けたのかもしれない。

 ああ、気がする、とか、かもしれない、とかいう文章ばかりだなんて、こんなの実験レポートとしては失格だ。(>_<)

 もっとデータが欲しい!
 ・・・なのに、保険が通らないらしくて、境界型の私には血中グルカゴン濃度測定も、グルカゴン負荷試験も、アルギニン負荷試験も、してもらえないのだ。


copyright (c) 2011- えいりあん
 転載厳禁。引用の際は、ブログ「血糖を管理する日々」に言及の上、リンクを張ってください。

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コメント

はじめまして!
私も肉で血糖値上がります!なかなか信じてもらえず悩んでいました。
なので大変嬉しくすっきりしました。
ありがとうございます!

投稿: 蓮 | 2011年5月31日 (火) 11:34

蓮さん

 はじめまして。ようこそ。

>私も肉で血糖値上がります!

 でも、カーボを食べた時のように、急に爆上がりするわけではないでしょ?
 それとも、もしや1型さんですか?

>なかなか信じてもらえず悩んでいました。

A)タンパク質は血糖に変わらない

B)タンパク質は血糖値を上げない

 このふたつをきちんと区別していない人が多いからでしょうね。

 A)は全く正しい。タンパク質が消化過程で分解されたらアミノ酸になるのであって、グルコースには変わりません。

 でも、そのこととB)はイコールではありません。
 だって、血糖=血液中のグルコース は、食べ物が消化されてできたグルコース由来のものだけではないのですもの。

 アミノ酸は、インスリン分泌とグルカゴン分泌の両方を刺激します。たいていの場合、分泌された両ホルモンのバランスが取れているから、血糖値は変わらないという結果になるだけです。バランスが崩れれば、血糖値は動いて当然でしょう。

 あ、このシリーズの後のほうで書くつもりだったことを書いちゃった。
 まあ、予告編ってことで・・・(^^;;;

投稿: えいりあん | 2011年6月 1日 (水) 22:08

とても勉強になります。次回予告編もチラリと聞けてラッキーでした。ありがとうございます!
自分はたぶん2型だと思われます。肉食のあとおっしゃるように爆上がりはしませんが、夜食べた後の早朝空腹はとても高くでます。やはりバランスなのでしょうか…。
次回も楽しみにしております。

投稿: 蓮 | 2011年6月 3日 (金) 06:13

えいりあんさん、はじめまして。

A)タンパク質は血糖に変わらない
B)タンパク質は血糖値を上げない

私もこの辺りが良くわからず、常々疑問に思っていました。

私はタンパク質を食べると血糖値が
ある程度上がります。食事では糖質も取るのでなかなか具体的な数値が把握できませんが、何年も食後の血糖を見ていると、そのように感じるのです(実は感じているだけだったりして...)。

2型のローカーボ実践者と話すと「タンパク質を食べて血糖値が上がるわけが無い」と一蹴する人が多いです。

ということで、私も次回を楽しみにしております。

投稿: KK | 2011年6月 4日 (土) 09:09

KKさん

 はじめまして。

 ひょっとして、私がここにデビューしたかどうかという頃、shoさんのblogにコメントを入れていらしたKKさんでしょうか?

A)タンパク質は血糖に変わらない
B)タンパク質は血糖値を上げない

 こう並べて書くと、このふたつは必ずしも同じことではないということが、わかるでしょ? A)は正しいけれど、B)は時と場合によるのだ、と。

 本来、A)の記述をすべき文脈でB)と書く人のなんと多いことか。(そして、そんなレトリックにひっかかる人が、なんと多いことか・・・。)

>何年も食後の血糖を見ていると

 そんな先輩さんなら、そしてネットをやっていらっしゃるなら、ご自分のデータを公開しておいてくださいよ。
 私はここで何度も書いていますが、データこそが真実です。

 YCATさんもそうですが、年季の入った先輩さんたちがこういった問題をとっとと片付けてアーカイヴに置いておいてくれたなら、IGT3年生の私がこんな記事を書かなくても済むのに・・・、と毎回新ネタをアップするたびに思うのです。

投稿: えいりあん | 2011年6月 4日 (土) 20:24

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