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2010年3月28日 (日)

ファット・バーン・ブルース

えいりあん・めもらんだむ

 脂肪は悪か。
 いえ、脂質ではなくて。栄養素としての脂質が悪だという人は、ここには来ていないでしょ。

 脂質ではなくて、脂肪。体脂肪の話。
 メタボッタクリボリック症候群キャンペーンの浸透とともに悪役として赤丸急上昇の内蔵脂肪
 でも、本当に内臓脂肪は諸悪の根源なのか?

 
 まだIGT(耐糖能異常)発覚前、運動強度アップ(週1回の水泳→週2回の筋トレ)とカロリー制限でBMIを22から20へ落としている最中に人間ドック受診日を迎えた私は、2008年4月の特定健診スタートに合わせて充実したオプション検査にマルを付けた。

ご注意:このエントリには血糖自己測定データは出てきませんので、高血糖値ファンの読者の皆様にはスルーなさることを推奨いたします。

 それは腹部脂肪CT検査。

2008f_scan

 BMIは目標達成。体脂肪率は、あと1%ほど落としたいところだが、ま、これでもいいか、と思っていた。
 ともかく、この時の身体に私は概ね満足していたのだ。

 ところが、この時の人間ドックで引っかかったTSH(甲状腺刺激ホルモン)高値の再検査のついでに頼み込んだ75 g OGTT(糖負荷検査)で、境界型糖尿病と診断されることになる。

 ほどなく始めたSMBG(血糖自己測定)。
 私にとって問題だったのは食後高血糖だから、当然、食後に測る。朝はばたばたしているので、昼。

 ・・・測るたびに、高血糖。(;_;)

 ・・・何を食べても、高血糖。(ToT)

 ・・・OGTTよりも、高血糖。
  ―――待て、それはオカシイだろ?

ということで始まった人体実験の日々。

 実験終了までは水しか飲まない、とか測定条件にこだわるものだから、実験日はエネルギー不足になって、目標値を越えて体重が落ちて行く。

 3ヶ月ごとに甲状腺と糖尿病の検査に通うのだが、お医者さんは開口一番
「ダイエット頑張ってますか?
 運動してますか?」
とおっしゃる。

 甲状腺の視触診と超音波検査に備えて襟ぐりの広く開いた服を着て行っている私は
「ええ、まあ」
とか答えながら、ココロの中で

 ―――このくっきりと浮いた鎖骨が目に入らぬかっ?!

と突っ込む。

 目に・・・入っていないのよね。カルテ見たまま、こちらに視線を向けずに訊くのだもの。
 シャイなオジサンなのね。

 人体実験に慣れたと思ったら、空腹時血糖が上がって血糖コントロールをいっそうタイトにしなければならなくなったりして、体重はまだ落ちる。

「ダイエット頑張ってますか?」

 ―――体脂肪率20%切りましたが、ナニカ?

「運動してますか?」

 ―――HDL-コレステロール100mg/dl越えましたが、ナニカ?

 こちらはもうココロの外でも突っ込むようになっているのに、あいかわらずシャイなままのセンセ。

 そして1年が過ぎ、人間ドックの受診日。
 メタボリック・シンドロームには絶対に引っかからない腹囲で、わざわざお金払って被爆することもあるまいと思っていたのに、ドック受付で最後の瞬間に、今の画像が見たい!という好奇心に負けた・・・。

2009f_scan

 内臓脂肪面積 7 cm2という数値を見た瞬間、やったね♪と喜んだことは告白しておこう。
 内臓脂肪=悪の権化説に毒されていた、浅はかな自分。

 大腰筋の背中側にだけ、しつこく残る脂肪は何なのよ?
と、不鮮明な画像に目を凝らしているうちに気づいた。

 これがなくなったら、腎臓が走って遊びに行っちゃうんじゃね?

 腹腔内はすでにすかすか。

 いつ胃が落っこちてきても、不思議はないんじゃね?

  ・・・・・・

  ・・・・・・

 お医者さんに訊いてみよう。

―――内臓脂肪はどこまで減らせばいいんですか? ゼロですか?

「いや腸間膜には必ず脂肪があるのだから、ゼロにはなりませんよ」

―――そりゃミクロには必ず存在するでしょうけれど、腹部CTで0.5 cm2未満とかゼロとみなせる量まで減らすほうがいいんですか?

「いやー、それは・・・。ある程度は必要ですから」

―――ある程度って、どのくらいですか?

「さあ・・・」

―――お臍高さのCTで100 cm2以上だと悪いという基準は知っていますけれど、じゃあ、何平方センチくらいが適当だとか、そういった標準値なり理想値なりは、ないんですか?

「ありません」(←珍しく、きっぱり)
「いやー、7 cm2なんて、初めて見ましたよ!」

 それはセンセの前に現れないってだけでしょ。
 ジムへ行けば、私より体脂肪を絞っている女性はごろごろいますけど。
 私がリアルで知っている女性の体脂肪率最小値は9 %ですけど。@40代。

―――異常値だけ決めておいて、標準値も理想値もないんですか??
 それじゃあ、自分の身体をどこにチューニングしたらいいか、わからないじゃないのさっ(`□´) 

 ・・・以後、センセの口から定番セリフはもう出ない。

copyright (c) 2010- えいりあん
 転載厳禁。引用の際は、ブログ「血糖を管理する日々」に言及の上、リンクを張ってください。

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コメント

 文芸春秋2007/10月号掲載の立花隆さんのお腹とは、違う生き物みたいですね。
 内臓脂肪面積189c㎡(全体脂肪面積352c㎡)
 臓器と臓器の間に脂肪の海ができていて、内臓が「生きていてもうしわけありません」って感じでひっそり暮らしている。風船には皮があるわけで、小腸も大腸も蠕動しようとしても動けない満員電車みたいです。

「普通は、100c㎡未満とされています」としか東大の永井教授も言っていませんから、具体的研究はなさそうですね。
 7c㎡(やりすぎ? すばしっこくって、とても捕まえられない地鶏みたいなモツなんでしょうね)もびっくりですが、189c㎡に永井先生が驚いています。
 放射線被爆の問題に、保険負担の問題、「あ~めんどくさい」も含めて、健康人をCT撮影するのは、めったにないでしょうから、撮影事例自体が少ないんじゃないでしょうか。
 油滴がくっつくように脂肪細胞も巨大化して悪性物質生成ってことが考えられる以上、数値管理も必要でしょうが、見た目で、臓器が主役なのか脂肪が主役の世界かで判定されるべきかもしれません。
 ……だってのにさ(´ヘ`;)
 どうして看護師さんが、風船を巻尺で計って判定しようとしたりするんでしょうね。
 予算の問題はあるけど、貧すれば鈍す。無駄な手間をかけても何の役にも立たないわけで――またぞろ「寒冷地でも動く強力エンジンさ。でも、金が足りずへなへな鉄板装甲で、一発で穴があいちゃった戦車」大好きな日本人文化ですねえ……。
 司馬遼太郎さん、そんな世界と縁が切れて、幸せですか? 
 そこをどうにかするのが生きているものの勤めでしょって? 
 はははっ……ずいまぜん(´ヘ`;)

 血糖値の24時間測定同様、私たちの体は、まだまだ知られざる大陸ですね。探検すればするほど、センス・オブ・ワンダー! みたいで、うううむ。
 あと20年若かったらなあ(´ヘ`;) 日野原先生までは、あと40年あるけど……さあ、どうします、えいりあんさん? 

投稿: YCAT | 2010年3月29日 (月) 05:29

ご無沙汰していまし。
糖質制限と運動でと薬ナシで4年間糖尿病と闘ってきましはた、来週からのカンヌ映画祭長期出張では運動出来ないので、牧田医師のアドバイスで夢の新薬ジャヌビアを試してみようと思います。


ジャヌビアをどう評価してますか?

僕のHbA1cは5.8%ですが、初期患者ほど膵臓β機能を回復させてくれるとか…。

投稿: 高橋雄三 | 2010年4月 1日 (木) 14:25

 随分お久しぶりになります、雄三さん。

 ジャヌビアについては、riseさんが2月の定期健診でI先生から牧田クリニックでの使用データを見せてもらっていますよ。
 フランスのまやさん情報では、使用実績もあり、副作用もないようですが……。

>初期患者ほど膵臓β機能を回復させてくれるとか…。

 話の話として、その説はありますが、どうなんでしょうね。
 臨床実績としてはまとまっていないように見えます。動物実験においても、若いマウスは膵島増殖……年寄りマウスは変化なしってデータもあるらしいです。発症履歴じゃなく、肉体が初期――若いかどうか!
 それが問題である可能性は高そう(´ヘ`;)
 どこもかしこも若返って、若い体にふさわしい身体をこっちも持ちたい! 
 うふ。
 久しぶりにそちらのブログにお邪魔しましたら、随分、カラーリングされましたね。肖像権は大丈夫ですよね。ま、公開利用するわけではなく、お宝箱に私蔵するだけですけど。
 もうほとんど死蔵だな(´ヘ`;)
 おっと、閑話休題。
 ヘモグロビンA1c5%台にふさわしく、空腹時血糖値は100未満が多いようで、いいですねえ。数年前は、夜ごとの酒池肉林が時折りあったはずですが、最近は少ないのでしょうか? まあ、この景気ですから、業界も以前のように経費丸抱えとは行かないのでしょうけど。
 あるいは、激しい筋トレで(年齢にしては)驚異のインスリン活用を維持されているのかしら? 
 それ以上に、耐糖能異常(IGT)を初期発見されて、カーボカウント術を知ったので、まだまだすい臓が元気である可能性もあります。

 そうした段階であれば
<保存カーボを分解して血管に放出することで血糖をあげるホルモン、グルカゴンの放出を抑えるインクレチンGLP-1を、すぐ分解してしまうDPP-4という酵素の働きを抑える薬であるジャヌビア(商品名)>を
投入すれば、無駄な食後高血糖(食事摂取カーボ+体内カーボの合算)を防げて、ひいてはインスリンを無駄に投与せずに済んでランゲルハンス島の電気を消しておけ、無駄な疲弊をなくすことができるかもしれない……ああ、めんどくさ(´ヘ`;)
 詳細解説はall aboutで河合 勝幸さんの2009/12/15待望の糖尿病新薬! 『ジャヌビア』でどうぞ。
 直リンク禁止だと河合さんは言っていたけど、検索エンジンが勝手に拾っちゃうんだから、もう、無視します(^!^)

 杉本先生のアクトス使用患者さんに対しての投与例では、うまく食後高血糖を防止できています。
 riseさんは、それを含めた平均血糖値――ヘモグロビンA1cの数値改善データを見せられ、顕著な改善がなかったので、ちょっと否定的ですね。

 どうにもならなくなるまでは、私も薬物投与には否定的です。
 riseさんや、雄三さんと違って、なあああああああああんも筋トレせず、一定量のカーボ給餌して「どうするんだい、ランゲルハンス君?」ですけど。
 樹上生活のナマケモノは、あんなに動かずでも糖尿病にならない以上、なにかしら、摂取カーボ量に見合う生活強度量を満たしているのかしら? 
 ……はっぱのカーボ量は知れているってか?
 白砂糖の魅力を知ったらどうなるだろう?
 皮下脂肪を、木から垂れ流して絶滅するか? 
 知恵の白砂糖(カーボ)のおかげで、木から降りて文明を開化させるか?  

>カンヌ映画祭長期出張では運動出来ないので

 ジャヌビアに害はないようですので、食後高血糖防止用としてよろしいんじゃないでしょうか。
 200越えを見ずに済むと精神的に安定します。
 といっても、以前と扱っている分野が変わったようにも思えますが、SMBG(血糖自己測定)している時間的余裕がありますか? 
 それほど経費潤沢じゃありませんでしょ、たぶん。

>糖質制限と運動でと薬ナシで4年間糖尿病と闘ってきました

 他の患者同様、五里霧中で過ごした後、2005年に私はSMBG(血糖自己測定)のおかげで、カーボカウントに気がつき、あしかけ5年、糖尿病と<遊んで>きました。
「ほれ、どこまでやれば、血管がつまるんだ? ええい、もっと食ってやる!」
 カステーラさんの奥様は「趣味は糖尿病ね」とカステーラさんにおっしゃったそうです(^!^)
 肝心なのは、<薬>にしろ<医師>にせよ、あなたまかせにしないことです。
 ジャヌビアに対しても、いずれ日本登場のインクレチンGLP-1剤に対しても、期待すること大なのは、私も同様です。しかし、ワーク(患者)をおもちゃ、おっと、素材、あら、同じことね(´ヘ`;)にするのが仕事である医師と、我々、いじられる側の視線は違うものであるべきです。
 管理側は、日本だけでも数百万体、世界を見れば、数億のワークがありますが、我々には1個しかありません。

>4年間糖尿病と闘ってきました

 何週間の日程かわかりませんが、無理をするなとは申しません。
 カーボを食ったら寝るな。じゃあ、アルコールだ。呑んだら、知らぬ間に食っちまった。そんな日々でしたでしょ? ちがうかな? (あれ、STOP!)と、そんな、もーろー意識時に天の声を聞いたりしませんでしたでしょうか? 
 たまの爆発くらいどうにかしてくれる。それがいい加減な神様の下さったアバウトなこの代謝系です。でも、優しくて、冷たい神様は、知らんぷりです。
 神の子なんて、知らん、知らん。俺のタネじゃねえって。
 それは<自制>という名の自分の声。
 それが<闘ってきました>ってことになるのでしょう。とってもストレスですね(´ヘ`;) ……奥さんや、お袋に言われるよりマシだけど。

 管理職ってのは、雑用にとらわれちゃいけないわけですが、雄三さんの業界は、細部に神は宿るで、雑用にこそ、企画の糸口があったりするんでしょ? そうはいってももう若くはないのですから、カンヌでは96時間徹夜なんてのは若い子に任せて、時々は眠ってくださいね。
 半睡の猫のように。
 あら、半酔かしら? 
 フランスだから、カーボメインの料理はそんなにないはずだし、私のように、食後デザートばっかり狙っているとは思えません。一週間くらいのアルコール漬けなら、雄三さんの肝臓は無問題でしょ? 
 スパゲティばっかり食っていたり「日本食が恋しい」って、ホテルでお茶漬けばっかり食ったり。そんな観光客は多いですが、カーボカウントを知っている以上、ありえないし、万一そうなってもジャヌビアががんばるだろうし……。

 ジャヌビアをあてにして、カーボ三昧、量増量を、1週間が、1ヶ月、それが1年と生活習慣化し、それによる代謝変化――特に血糖の処理状況を確認しなくなる。
 本当に、膵島の細胞増殖機能があって、若返ることができるならすばらしいのですが、そうじゃなければ、生活強度低減、それにより従来摂取量が余剰エネルギーとなってしまい、再度、耐糖能異常(IGT)悪化となるでしょう。
 それは、治療放棄――今度来院時は、腎透析しましょうね式、糖尿病予備軍地獄行きの図式と、同じ道ですもの(´ヘ`;) 
  
 追伸

 キーラ・ナイトレイは来ますかね? あたし、ファンなんです(^!^)
 演技じゃなく、なにげに笑っている写真があったらいいなあ……直接、怒鳴られたいなあ。お尻にタッチして、ひっぱたかれてみて下さい(^!^) ……なんちゃって、Go out は業務に差し支えますよね。
 

投稿: YCAT | 2010年4月 2日 (金) 18:19

YCAT様

>「普通は、100c㎡未満とされています」としか東大の永井教授も言っていませんから、具体的研究はなさそうですね。

 たしか100c㎡以上になると耐糖能異常を含む有病率が高くなる、という報告はあって、それに基づいて決められた基準値ではあるのですよ。(ごめんなさい、今、オリジナル論文が見つかりません。発掘したら、またコメント入れます。)

>放射線被爆の問題に、保険負担の問題、「あ~めんどくさい」も含めて、健康人をCT撮影するのは、めったにないでしょうから、撮影事例自体が少ないんじゃないでしょうか。

 それでも日本はCTの普及台数がめっちゃ多い国ですから、人間ドック程度でも撮ってもらえるわけで、他国よりはデータは蓄積されているそうです。
 ま、私がこのオプション検査を受けたのは、ドック後に医師の説明を聞く際にリクエストするとスキャン画像をディスプレイ上で見せてもらえて、その時に写っている範囲の臓器(肝臓や腎臓、膵臓)に異常がないかチェックを頼めるからです。(私の受けている人間ドックでは、肺はCT検査がデフォルトでして、腹部脂肪検査も同じ装置で行います。脂肪が白く見えているのは後のソフトウェアの処理結果に過ぎません。でも後で郵送されてくるのは今回アップした画像の載った紙1枚で、せっかくスキャンした上下数センチの範囲のデータは入っていないので、その場で読影してもらうことにしているのです。)

> あと20年若かったらなあ(´ヘ`;) 日野原先生までは、あと40年あるけど……

???
 YCAT様が何を念頭に置いておられるのか存じませんが・・・

 ローカーボ食生活でもカロリーオーバーにすれば太れますし、40年あれば立花さん化だって可能でしょう。別種の生き物に変身できますわよ。

 日野原先生に関しては、高齢者がみんなあの先生のような丈夫な循環器に恵まれているわけではないと、どなたかお医者さんが紙媒体に書いていらっしゃったのを読んだ記憶があります。加齢に伴って、どこかしらの臓器に故障が出てくる体質というか遺伝的形質を持っている人がほとんどだと。
 たしかに、ある種の癌を発生しやすい家系もありますし、私の母方の親戚には年を取ると不整脈が出る人がとても多いです。今日の朝刊の訃報欄には、83歳で老衰でお亡くなりになった方が出ていました。
 だから、日野原先生が今も現役でご活躍なのはたいへんすばらしいことだけれども、節制さえしていれば誰もがみんなあの先生のようになれるかのような幻想を抱いてはいけない、と思っています。(そういう幻想を抱かせるような報道があるならば、それは危険だとも思っています。)

>さあ、どうします、えいりあんさん? 

 私自身は、夫より1日長生きできればそれでいいので、どうしますと訊かれましても・・・(^^;;;

投稿: えいりあん | 2010年4月 3日 (土) 12:00

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