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2009年12月13日 (日)

震えて眠れ――空腹時血糖値の季節変動(1)

えいりあん・めもらんだむ

 冬が、来た。

 寒い季節は好きではなかったのだけれど、今年は違う。
 待ちに待った冬が、来た。

 昨年秋に血糖自己測定(SMBG)を始めた私だが、健診や人間ドックで空腹時血糖値が高かったことがなく、数回測って健診値と同じくらいだと確認できたので、2月には早朝の血糖値を測るのをやめてしまった。冬の朝は装置仕様に定められた使用温度範囲(14~40℃)より気温が低くて、測定前に装置を温めるのが面倒だったから。

 春が来て、5月。
 連休で暇だし、もう温度エラーが出ることもないし、と久しぶりに朝測ってみたら・・・100 mg/dl。

 3桁。

 ナニ、これ。早朝空腹時に3桁なんて、見たことない。
 いや、4月末に風邪を引いていたから、まだ治りきっていないのか? シックデイなのか?

 ・・・風邪がすっかり治って、1週間たち、2週間たっても3桁。106とか108とか。

 なぜ?なぜ?なぜ?

 ローカーボな食生活を半年も続けていて、食後高血糖は回避しているのに、それでも糖尿病って進行するの?
 疲弊していたβ細胞が休息できた分、少しは良くなるのではなかったの?
 たった数日、熱も出ない軽い風邪を引いたのがいけなかったの?

推定原因1)前夜の夕食の脂質の影響
→夕食の時間を早くしても、低脂質さっぱりメニューにしても、翌朝はやはり3桁。

推定原因2)測定器の誤差
→メーカーに電話して訊いたら、使用温度範囲内なら影響なしと一蹴された。

推定原因3)暁現象
→夜中に定期的に起きて測っても、ずっと100ちょい。いったん下がってから上がるわけではない。

推定原因4)インスリン基礎分泌の低下
考えたくない。考えたくないけれど、いちばんストレートな解。

 まさか、緩徐進行型I型糖尿病(SPIDDM)? と疑って、抗GAD抗体検査をしてもらったけれど、マイナス。
「BMIも体脂肪率も少々落としすぎ、運動もしている、食後高血糖を出さないような食べ方もしているのに、なぜ?」と訊くと、医師曰く
「自然経過です」
「まず食後高血糖が出て、次に早朝空腹時血糖値が上がって来るのが糖尿病の通常の進行です」と。

推定原因5)エネルギー代謝の季節変動の影響
→過去データを良く見ると、10月~11月より、12~1月の値のほうが低いみたい。もしかして、気温が高い時期は血糖値も高い?

# というような話を超長文コメントとしてこちらに書き込んだのがイケナかったのですねえ。まさか数ヵ月後には自分が中の人になってしまうなんで、まるっきり想定外でしたわ。

 そんなわけで、インスリン基礎分泌低下の可能性に脅えつつ、季節変動説に望みを託して、夏を越え秋を過ごして、気温が下がるのを待ち続けた結果が、これ。

Fbs_date

 横軸がカレンダータイム、左縦軸が早朝空腹時血糖値()、右縦軸はHbA1C()。

 SMBG測定値が高かった夏にはHbA1Cも上がっていたから、本当に私の血糖値が高かったことは間違いない。簡易測定器のせいではない。

 私の早朝空腹時血糖値は、夏高く、冬低い。

 一般に基礎代謝は、夏に少なく、冬に多い。

 意外な感じもするけれど、これは体温と気温の差が小さい夏季には、体温維持に必要な熱産生が少なくて済むため。
 もちろん睡眠時代謝も。

 なにしろ、寝ている時間の血糖の細胞への取り込み量と、肝臓が作るグルコース量とがどこで平衡するかという問題なのだ。
 昼ならば筋肉を動かして、インスリン非依存的にGLUT4を細胞表面に出して、筋肉に血糖を取り込ませることができるが、睡眠中にこの手は使えない。

 秋には血糖値が下がり始めてくれるだろう・・・という期待が裏切られ続けた9月、10月。いつまでもタオルケットや薄い綿毛布しか使わない私をいぶかる夫に、私はこう説明した。
「体温と周囲温度の差が大きいほうが、必要な熱産生量が多くなるでしょ。つまりそれだけエネルギー代謝が大きくなって、グルコース消費量が増えるでしょ」
「それで風邪引いちゃ、元も子もないじゃん」
「だ~か~ら~、どれだけ薄着して寝ても、風邪を引かない、夜中に寒さで目覚めることもないかっていう閾値を探る実験をしてるのっ!」
これで、納得。(・・・するか? ふつー・・・)

 ヘタレの膵臓も、勝手に張り切る肝臓も、一歩下がっていて欲しい。私のエネルギー代謝の主役は、昼は筋肉に、夜はミトコンドリアに任せたいよ。>マイ・ボディ

 10月最終週にようやく2桁の早朝空腹時血糖値が見られるようになり、11月3日、当地の最低気温が7℃を記録した朝、89♪  80台の数字は何ヶ月ぶりだろう。

 ともあれ、私の早朝空腹時血糖値が高かったのは季節変動によるもので、インスリン基礎分泌が低下したわけではないらしい。めでたい。

 ・・・しかし、私のデータは定説に真っ向から逆らっているのよねえ。

copyright (c)2009- えいりあん
 転載厳禁。引用の際は、ブログ「血糖を管理する日々」に言及の上、リンクを張ってください。

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コメント

 うう、まだ情熱の火が燃えさかっていますね。
 ……もうじき7年経過のあたしは、飽きちゃった。

 季節変動仮説に裏づけがついて、お疲れ様です。ヘモグロビンA1cで見た私の場合は、無関係としか思えませんでしたが、空腹時血糖値のような<点>観測の方がみえやすい可能性はあるでしょう。
 月1回程度の測定による私の空腹時血糖値では、そんな印象はもてません。これは、前日食事量(総カロリーにせよ、カーボ量にせよ)が様々な量であるせいもあるでしょう。えいりあんさんのように、ぎりぎりの必要カーボ摂取条件下において、測定比較しないと傾向までは出てこないでしょう。
 (注/これ、えいりあんさん実験の補足のつもり。
  一日当りの総カーボ摂取量、100g程度でしたよね?)

投稿: YCAT | 2009年12月14日 (月) 01:55

>YCAT様

 カーボ摂取はあまり関係ないと思うのですよ。糖質の影響が血糖値に見えるのは、せいぜい数時間のことですから。

 早朝空腹時血糖値というのは、肝グリコーゲン由来にせよ、糖新生まで進んだにせよ、肝臓から放出された血中グルコースと基礎インスリンとがどこでバランスするか、を現しているわけでしょう?

 だから、私の季節変動は、私の基礎インスリンがいかにぎりぎりのレヴェルか、を示しているのだと思います。気温変化による基礎代謝量のわずかな変化が見えてしまうくらい、ぎりぎり。
 冬は少々余裕があるみたいだけれど、夏は空腹時血糖値100~110が正常高値と言われることを考えるとオンライン? あと一歩踏み越えたら、きっとアウト。


> うう、まだ情熱の火が燃えさかっていますね。
> ……もうじき7年経過のあたしは、飽きちゃった。

 だから私をスカウトなさったのでしょうに、
ご無体なおっしゃりよう。(/_;)

>ネタはいろいろ貯まったけど、
>キャプションをつける気にならん(´ヘ`;) 
> 年が明けるまでダメじゃなあ、きっと。

 年を取れば取るほど引越が堪えるのは想像できますが(私は8回の引越-海外含む-経験者)、年が明けたらちゃんと書いてくださいよ。

投稿: えいりあん | 2009年12月15日 (火) 07:26

>YCAT様

>ヘモグロビンA1cで見た私の場合は、無関係としか思えませんでした

 HbA1cの季節変動に関する論文としては、
"Seasonal Patterns in Monthly Hemoglobin A1c Values," Chin-Lin Tseng et al.,
American Journal of Epidemiology, 161(6), 565-574 (2005).

なんてのを見つけました。アメリカ@北半球のデータですが、
「HbA1cは1月~3月に高く、秋に低い」となっております。
 HbA1cの変動は血糖値の変動より時期的にやや遅れることから、血糖値は冬に高く夏に低かったことの反映だろう、と。
 退役軍人のデータ。患者数272,722人。67の医療機関で検査した、延べ823,990回のHbA1c測定による結論。

 ・・・なんてデカいデータ。
 私はアメリカ軍を敵に回すんかい? (@_@;)

投稿: えいりあん | 2009年12月19日 (土) 14:04

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