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2009年4月24日 (金)

生化学データの信頼性

 えいりあんさんにコメントで指摘されて、びっくり仰天。

 >LDL-cho(低比重リボ蛋白)直接測定法はまだ精度が悪くて、あまりあてにならないという話です。

09042555 大阪府立健康科学センターの脂質基準分析室による報告だけど、主治医の先生に聞いてみたが、ご存じない(´ヘ`;)
 たしかに私のデータ履歴上でも、過去におかしな数値があった。
 以下記述であれば、まさしくどんぴしゃだ! 

 5)認証試験における同一検体の測定値の最大差
  LDLの場合  49mg/dL
 
 認証試験において、同じ検体を測定したとき、総コレステロールでは最大差は5mg/dL程度に留まるが、LDLコレステロールでは約10倍の49mg/dLにまで拡大する。
 このことは、LDLコレステロールの試薬メーカー間差が総コレステロールよりも10倍も大きいことを示唆する。

 去年、発掘したヘモグロビンA1cの誤差が0.5%もあった事件もそうだが、医療における検査データの信頼性ってどうなってんだ? 

 いろいろネットサーフィンしてみたら、第50回日本糖尿病学会年次学術集会2007年5月24日で、筑波大学大学院人間総合科学研究科内分泌代謝・糖尿病内科の山田信博教授が、同様の回答をしているのを発見。

Q:直接法によりLDLコレステロールを
  測定できるようになってきているが?
A:簡便に測定するには直接法は便利だが、
  バラツキが大きく、絶対値としての信頼性は不十分である。

 さらに産総研(産業技術総合研究所)の2007年度成果報告臨床検査用標準物質の研究開発なるPDFファイル発見。
 測定データのばらつきを起こす可能性がある試薬を製造しているのは6社(会社名不詳)あるらしいが、そこから提供された11キット中2キットが、相対バイアス((´ヘ`;) 意味不明)の許容値を越えていると報告されている。

 HDL-C、LDL-Cとも、リポ蛋白中に存在するコレステロールであり、そのリポ蛋白の状態等により、測定試薬の反応性が大きく変わる場合がある

 つまりは、生ものだから、少々ばらつくのはしょうがないってこと? 生化学は難しい(´ヘ`;)

 工業技術のメッカ、産総研でこんな研究をしているなんて思いもよらなかったけど「残された市場は、バイオ、医療」ってのは、このところ製造メーカーで、ささやかれる合言葉のようなものだから、当然なのかもしれない。
 医療がらみは、産業用機器よりもっと利益率が高いもんなあ……って、政治がらみだし、生もので扱いが難しいから、そうなるわけで……おっと患者(利用者)サイドに戻らなきゃ。

 商売になるならないはともかく、独立行政法人産総研さんには、より高い精度を目指して励んでもらいたいが、ちょっと待ったぁ! かも。

 大阪府立健康科学センターは、橋下知事の下で、存亡の危機にあるらしくもあるけど、こんな文章を作っているようじゃ、つぶしてしまった方がいいかもしれない。
 アメリカでは認めていない程度の精度しか期待できないから、ダメだって言ったって、検査上の正確性を期待できても、総コレステロールを測定する意義が(たぶん)ない以上、何を言っているんだとしか思えない。
 技術屋(産総研)が「測定とその精度研究のための機器、材料開発に命を賭ける」のは、まだ許せるが、より現場に近い位置にいて、こんな文書を作っているのは、患者の病状なんて「おら、知らん」でしかない困った話だ。
 ヒマなのか、根性が悪いのか……こういうのを<近視眼思考>って呼ぶのだ。<たこつぼ>生活とも言えるな。
 
 フランスでは、ヘモグロビンA1c6.5%を<二度越えると>投薬開始とマニュアルに書かれているらしい。おお、測定データはいい加減なものと認識しているんだな、きっと。
 電車の発車時刻同様、狂うのが生もののデータであって、その辺をアバウトに見渡して管理する発想ってのが必要だろう。東芝の編集画面同様、日本人技術者ってどうして頭が固いんだろう(´ヘ`;) アップルやノキアの爪の垢を煎じて飲ませなきゃ。
 私のデータを見る限り、喫煙をやめない限りLDL(低比重リボ蛋白)の値は、ずっと140mg/dl前後で変動していない。それが乱高下したら、そこで初めて、なんらかの障害を疑って要検査とすればいいのだ。
 そもそも、基準値オーバーで「きゃあ、きゃあ」と医師がいくらつべこべ言ったって、調子いい限り「医者なんて、どっかいっとくれ」であって、<それがその人の標準代謝値>経年変化していないのであれば、散々、検査で要再検査指示をされているような海千山千の患者が、危機感を持つわけがない。
 医師は、疲れる仕事だ――つくづく、そう同情したくもなる。
 逆に、従順な老齢女性(体調が悪くなってから検査するような、初心者が多いからなおさら)を、たった一度のデータで――そのつもりはないと信じたいけど――脅してしまうパターンも多い(´ヘ`;)
 
 都合のいい部分だけ読んで、自分の体調不良の言い訳に使うのも間違いだけど、医療データを鵜呑みにするマジメさは、ちょっとひかえるべきなのだろう。
 ……あわてないでって、こと(^!^)
 専門家の言うことを無視するのは、やっぱり危険が大きい。だからといって、間違いも/勘違いもするのが人間である以上、言われたとおりにするのも危険――自分で考えなきゃいけないのが<や>なんてのは、やっぱりナシなのよね。
 疲れるけど……。

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コメント

また怒涛のアップで・・・

 主治医殿にそういう話を聞ける関係というのは、正直羨ましくもあります。
 調べてみると医学系の検査には、誤差が大きいものがけっこうあるようですね。 SMBGの±10%ってのも気に入らないんですが(だって、そんな精度の「簡易」測定ならもっと安くていいと思いません?)。

 私は原因不明の甲状腺機能低下症なのですが、もっとも疑わしい橋本病(私の年代の女性では潜在的に10%は罹患していると言われています)の抗体検査をしてもマイナスで、医者が悩んでいます。橋本病ってのは自己免疫疾患で、自分で自分の甲状腺を攻撃する抗体ができてしまう病気でして、患者の95%以上は代表的な抗体2種の少なくとも一方がプラスになるんだそうですが、私はどちらもマイナス・・・。
 で、残りの5%未満の人は何かという話が医学的にもまだ決着がついていないらしいのです。未知の原因説と、抗体検査の検出限界以下の微量の抗体説があって、私が素人検索した印象では後者のほうが優勢っぽい。検査の検出限界のせいって、なんじゃそりゃ・・・という感じです。
 先日、ごくマイナーな第三の抗体検査の結果が出たのですが、これまた10以上で異常と判断されるところが9.1という微妙な数字。もちろん医師は正常ですと言ってくれるのですが、私は(その検査、有効数字2桁あるんかいな?)と思いつつ何も言わずに帰ってネットサーフィンすることになるのでした。
 検査試薬メーカーのサイトをあさってみたら、抗体濃度既知の標準試料に対し誤差15%、同一検体3回繰り返し試験で誤差10%。正常と異常の境界値10に対し、9も11もエラーバーの中じゃん・・・やっぱりね。

 私の場合は甲状腺機能が低下したり正常化したりを揺れ動いていて、低下しているらしいときは自分でわかるようになったので、どうでもいいといえばいいのですが。(自覚症状ではわかりませんが、就寝前と起床直後の体重差とか、ジムでウォーミングアップするときの負荷と汗が出始めるまでにかかる時間の関係とかから察しがつくようになりました。甲状腺機能が落ちると、発汗が減るので。)
 でも甲状腺の血液検査って高いんですよね。私はデータ収集が趣味みたいなもんだから定期的に通っていますが、普通の患者さんだったら何も治療せずに様子を見ましょう、また3ヶ月たったら検査と繰り返し言われたら行かなくなるでしょうな。

投稿: えいりあん | 2009年4月29日 (水) 09:56

 これは、一筋縄じゃ語れない問題ではあります、えいりあんさん。ただでさえ化学反応はややこしいのに、生(ナマの)化学となると「あっち向いてホイ!」状態でしか見えていないのが、現代科学の水準です。
 ま、因果関係を全部読めれば、まさしく、神不要なんでしょうが。

 調べなおす過程で、つくづく医者は大変な職業だと思いなおしました。……私は、高給をもらえても、やですね(´ヘ`;)
 あまり患者の気持ちをマジメに考えすぎたりすると、泣いて泣いて死になさいってことになりがちで、であれば、いっそ<医は算術>と割り切って長生きして医療に従事してもらった方が、総体的には多数の人々を救えたりするのかもしれません。
 や! なんて思って逃げている私には、患者を救う機会さえありえないわけですし。

 このような誤差の話は、患者自身が主導権を取れるほど情報を持っていれば通じるでしょうが、そうじゃない人に説明したら、不安に思うばかりでしょう。
 しかも、他に話さなきゃいけないことがいっぱいある上に、診療時間には限りがある。
 だからといって、教科書に書いてあるからと押し付けるのは問題ですが、困ったことに、日本人はだいたいが素直でマジメだから、専門家の説を真に受けがちなんですよね(´ヘ`;) 押し付ける気が医師になくとも、勝手に患者が押しつぶされてしまうってのも、パターンの一つです。
 どうしたものなんでしょうね? 
 
 基本的には、記事にも書きましたように、患者それぞれのデータ推移で考えるべきだと思います。
 体温だって、高い人、低めの人がいます。
 いろんな種類の血液データの標準値が、全員に通じるかどうかがそもそも怪しいわけで、ナマ身の人間、それぞれが違うという前提で、その経時変化、経年変化を見るしかないと思っています。
 ということは、対症療法より、予防医学重視って政策を取るべきだってことになるわけですが、ううううむ。厚生労働省に期待しても無理だから、自分自身でそうする人を増やしていくしかないんでしょうね。
 その数が増えた段階でパラダイム・チェンジする……。

 工業製品の故障(病気)ってのは、発生段階の早い段階で発見すればするほど、ローコストで処理できるわけで、人体も同じはずですが、この常識だって、品質管理がわかっている人以外は、案外知らないくらいだから、無理な話かもしれません。
 不良品の山の前で、従業員に「なぜゴミを作るんだ」と怒るだけの重役さんがいっぱいいますもん。
 失敗の原因を追究しなきゃ問題は解決しないってのに。
 精神論より、事実の掘り下げ掘り下げ――トヨタの「なぜなぜ」方式すら、タイトルしか記憶していない人が多い――掘り下げるのは面倒だから、そもそも考えたくないって説もありますが。
 ……かくして合併症が出てから「なぜ私が?」と叫ぶ羽目になる。
 因果は、巡る――技術のレベルこそ違え、これって、石器時代からある話かもしれません。<何も考えたくない>前例踏襲主義は、ヒト族の性(さが)なのでしょう。面倒なのは、や! ですもんね。
 ……でも、XXは、きらいだ(´ヘ`;)

投稿: (管) | 2009年4月30日 (木) 00:15

 まあ甲状腺機能に関して言えば、ビミョーな数値で症状が出てくる私の身体がヘンなんだ、ということで理解していますが。(これまで5回検査して、3回が異常値・2回正常。一番異常高値だった時には自覚症状が相当苦しくて薬の処方をこちらからお願いしたのですが、医学的にはその程度の異常値ではまだ処方しないのが一般的だそうで、駄目でした。)今は自覚症状が出る前に体重変動から察しをつけて、ヤバそうな時には無理やり運動負荷を上げて(きわめて一時的にですが)代謝を上げています。

 たまにSMBGでトンデモな数値が出て慌てて追試するたびに、一度ちゃんと測定誤差の見積もりをしなくちゃいけないわね~、と思いつつ面倒なのでやっていない私です。
 学生時代に、7回測定して最大値と最小値を捨てて残り5回の平均を取れだの、n=1測定で話をしてはいけないだの、叩き込まれたんですがねぇ。データ1点得るのに700円と思うと、やってられませんわ。それで治るわけではないのだし、ピークでも血糖値140以下(たまにミスっても160以下)の巡航飛行を会得したし・・・。

>対症療法より、予防医学重視
という議論、以前に欠陥住宅サイトでもやりましたわ。
 私、かなりマニアックな人間なもんで、中古住宅購入前に建築士さん(それも欠陥住宅訴訟などにかかわっている人)を依頼してインスペクションしてもらってから購入を決めたんですよね。その後の耐震リフォームも、設計監理してもらって。
 そんな経験を購入前の方にお話しするんですが、実際になさる方は実に少ない・・・。
 購入前検査に金と時間をかけるのは、予防接種するようなもん。買ってから欠陥住宅とわかって、交渉したり修繕したり訴訟したり、とたいへんな労力をかけるのは、病気になったあとでリハビリにお金と時間がかかるようなもん。と説明したものですが・・・。やはり、今なんともないのに、わざわざ金と時間をかける、という事に対する心理的バリアはかなり高いのでしょうね。

投稿: えいりあん | 2009年5月 1日 (金) 10:06

 おお、すばらしい! 

 遅レスすいません、えいりあんさん。いろいろストレスの溜まる展開があって、ややこしい文章を書き直す時間がとれませんでした。

 だったら、もっと簡単に書け!>自分。

 そうあるべきだけど、要はリスクとリターンのバランス次第でしょうけど、思考停止しちゃう方が普通ですね。
 保険なんかも、その最たるものです。
 
 これって取扱説明書を読む読まないとも共通しますね。長すぎる、無駄に丁寧なマニュアルも困ったものですが、やっぱり読まないと全部使いこなすことはできない。
 アップルのiPodだって、直感的にそこそこ使えるけど、ダビングとなると、いろいろ設定があって、やっぱり読まなきゃいけなかった。
 ……妙な使い方をする私が悪い? 

 長年の修練のおかげで、分厚いパソコンの取説だって、半日程度で読める――というか眺める能力が身につきましたが、あほらしいといつも嘆きながら付箋を貼り作業していると、読まない/手間をかけない人の気持ちはよくわかります。
 ……でも、やるのだ。
「逃げちゃダメだ」

 それを実践すると、マリンちゃんにいいようにだまされるんだけど、きっといつかはいいことがあるんだ、あるはずだ、あったらいいな、あってほしいな(´ヘ`;)

投稿: (管) | 2009年5月 1日 (金) 16:39

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