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2009年2月 4日 (水)

上水道(動脈血管)観測、新兵器

 1億人もいれば、いろんなことをやっているわけで、世界を見れば60億人。もっといろんなことが起きているんだろうなあ。
 山は高く、海は深い(´ヘ`;)

 体温や血圧感覚で<血管>を測る装置の普及を目指す!
 血管内皮機能障害(FMD)の程度を測る装置「ユネクスEF」

 名古屋市のユネクスが、「バイオベンチャー有望株」として1/28日経産業新聞で紹介されていた。昨秋、テレビでも紹介されたらしい。
 なんじゃ、そりゃ?
 ホントかね? 

 血管の最内部にある血管内皮は、毎分毎秒、傷ついている?
 血圧とは、遠い抹消血管まで血液が届くように、心臓が「ばふっ!」と押し出す圧力。黒澤明監督の名作『椿三十郎』のラストシーンのすさまじい血しぶきは、あくまで演出だけど、実際のスピードってどんなもんなんだろう? 
 ……どこにも書いていない。
 水銀柱換算の圧力がわかれば医療的には十分有用なのだろう。
 物理的、化学的な基本現象と共通化できればイメージをつかみやすくなり、因果関係もより見えやすいと思うんだが、そういう発想は、まだ方向が違うのかしら?
 下水道(静脈)がゆったり流れる大河だとすれば、上水道(動脈)が谷川に相当しそうだけど、心臓と頭が2m離れて動物界最大と言われるキリンさんだって、噴き出した血液がビルを壊すことはありえない。
「冗談じゃない、ああた、強風みたいなもんですよ」
 ……薄い薄い内皮さん、衝撃の事実を語る。
「糖化蛋白が、20個にひとつ(ヘモグロビンA1c5%)なら、どうにかなるけど、10個にひとつ(ヘモグロビンA1c10%)流れてきたり、それになんだいあの化学物質は? 喫煙や自動車に工場の排気ガスのせい? 痛いじゃないか!」 
 で、ボロボロになって穴があくかというと、そんなに単純な話じゃない。それじゃ血がもれちゃう。そこを修理する方法が、いろいろ問題を起こしているらしいってのが、最新の知見。
 応急処置は、つまりが、つぎはぎ細工。オヤジが縫った(若い娘さんも)ツギ当ては、不細工に膨らむってのが相場で、これが(結果的としての)動脈硬化。内皮さんの嘆きは続く。
「一番いやなのは、流れをせばめるから(動脈硬化)流れがもっと速く(高血圧)なることだよね。20個に一つしかない糖化蛋白だって、そうなりゃ凶器さ」
  
 日経産業の紙面で「ええっ!」と驚いたが、サイトを読むと、なんだ、超音波エコーじゃん……ところがどっこい。確かに、この器械は画期的である。
 専門の検査技師がいらない! 
 患者自身でも判断できる! たしかに体温計かもしれない。何より画面を介して直接医師と状況把握ができるから、よりインフォームド・コンセント(納得しあった情報)が得られる!

 血管の動脈硬化進展度についての医療知識はもっていても、どういうわけか医者って機械オンチが多い。あ、普通のおとうさんと同じか忙しいから、器械の操作を覚える時間がない医師は、検査技師が選定した写真で判断するしかなかった。超音波エコーの画像はモノクロで、2006/7月の写真2008/7月の写真を見てもわかるように、わかったようなわからないような代物でしかない。熟達した画像を読む名人芸視線がないと、判定は難しい。
 どうなっているのかと現場で質問しても「医療行為になりますから」と技師は答えてくれない。医師と話し合う時の材料は、技師が選定した特定時点で撮影した写真だけ。怪しければ、再度検査をやり直すこともあるだろうが、結局は、ある程度進んだ状態、見事に動脈硬化完成状態になっていないとわからないのではなかろうか? 
 動脈硬化の進展度を確認する方法として、他に血圧測定によるABI(足関節上腕血圧比)やCAVI(心臓足首血管指数)や、脈拍の伝達速度による血圧脈波検査装置もあるが、やはりよほど硬化が進んでいないとあてにならないようだ。

 このシステムの重要点は、二つある。
 ひとつは、血流依存性血管拡張反応FMD(flow-mediated dilation) という新医療手法。血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の放出で、血管が拡張する。動脈硬化が進展していると、古いゴム管――硬くなるから拡張しなくなるってわけだ。化学的には、一酸化窒素(NO)の放出なんだけど、それは見えないので、血管の拡張度から、それを判別しようというアイデア。

 正常な内皮細胞は、カフを緩めた後に血管拡張物質である一酸化窒素(NO)を放出します。
 このNOがどれだけ放出されたかは、どれだけ血管が拡張したかを見ることにより分かります。血管拡張が少ない場合は内皮機能が衰えているという訳です

 早期動脈硬化発見にどこまで有効なのか、現時点で確認中。
 もうひとつは、この知見をプログラム化して、画像認識技術(工業的には10年以上前から確立している)と組み合わせてデータを数値化していることだ。この<見える>化の効果は絶大だ。
 エキスパートモデル(専門家的人工知能)の初期段階。
 サイトにあるプロモーションビデオのように、画面を介して、リアルタイムで血管のサイズが表示されるから、直接患者と医師が話し合える。
「ほら、華厳の滝みたいになっちゃってるでしょ? タバコやめようね!」

 利用が進めば、動脈硬化の進展度が違う測定サンプルが飛躍的に増大するはずだから、副次的効果として、血糖値自己測定機器の普及と同様の効果が期待できそうなことも大きい。
 カーボが血糖値を上げる! 
 測定データがなかったら、いまだにわかっていなかった(まだ知らない、見たくない人もいるけど)関連性。そんな現象が見つかるかもしれない。
 もっとも基本的な存在である染色体は、全動物共通サイズだろうけど、それが組み合わさってできているアミノ酸/蛋白質でできた高分子――キリンとネズミの血管パーツのサイズは共通だろうか?
 オリンピックにに出るような重量挙げアスリートの血圧は、一般人とはかけ離れた数値になる事例がある。そんな筋肉マンと、楚々とした「フォークも持ったことがありませんわ」なんてお嬢様では?
 血管サイズの標準値を基準にしている――っていうか、他にやりようがないけど――点で、このシステムはまだテーラーメード医療的でしかない。それを、個人個人の経時/経年変化を追うことで、オーダーメイド医療に発展できるだろう。
 まさしく医師の臨床経験おばあちゃんの知恵より、現物データ! 
 工業生産において、すでに証明された事実。
 それは、ある程度までは熟練作業員の経験が有効だが、不良率をゼロにするには、むしろ邪魔な場合が多い。ベテランの思い込みって、進化の最大障壁なんだよね(´ヘ`;)
 閑話休題。
 もちろん、脳梗塞や心疾患は、そうそうすぐに起きるものじゃない。
 代謝関係の自己測定ロードマップでは動脈硬化については触れなかった。勉強不足っていうか、想像もしていなかったもん。炎症を起こして発熱した状態がわかる体温計とは、比較しようもないし、血糖値や血圧にくらべると相関性への信頼度が簡単に上がることはないだろう。それでも、可能性を見せてくれただけでうれしい。
 将来的には、SMBG(血糖自己測定)なみに一家に一台?
 現時点での価格は、1台800万円。 
 ソフトウエアを含めた開発費の回収があるからしょうがない。2005年に医療機器認可ってことは、たぶんあしかけ6年くらいかかっていて、その人件費を台数で割れば、これでも大赤字だろうが、量産が始まれば分母が大きくなるから、あっという間に安くなる。
 80万円でも買えないが、8万円なら、個人的にほしいな(^!^)
 民生機器なら数年で可能だけど、医療機器だから、まあ、無理だろうなあ。医療機器としての認可が必要だから、台湾、中国メーカーは参入できないし……あ、バッタモンが出回るかもしれん。ソフトはコピーすればいいってわけで……。
 頑張れ、研究者さん。頑張れ、社長!
 ……うううう、販売応援で、情報だけはあちこち伝えてみよう(^!^) 売れなかったら、安くはならんのだ(´ヘ`;)
 とりあえず測ってみたい……そうじゃありません? 

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コメント

 いつも ブログ 楽しみにしています。
 尊敬しています。ありがとうございます。

投稿: | 2009年2月 4日 (水) 15:53

 血管内皮機能の評価は、医学の基礎研究では重要なテーマのひとつであり、多数の研究が行なわれています。内皮機能が障害されると、さまざまな血管障害がでてくるといわれています。内皮機能が簡単に測定できるとしたら臨床上有用であり、画期的なことと思います。

投稿: 港区糖尿病専門医 | 2009年2月 5日 (木) 02:30

 先生、コメントありがとうございます。やっぱり画期的ですよね。

投稿: (管) | 2009年2月 5日 (木) 10:59

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