« 動脈硬化の文学的考察 | トップページ | 血糖測定器回収の告知 »

2008年5月 6日 (火)

時代がカーボカウントを呼ぶか?

Sakae0805 最新刊のさかえである。
 カーボカウントを知らないどころか、食後高血糖を意識していない医師が存在するくらいだから、今月の特集「食後高血糖を克服しよう!」は利用価値がある。
 これを持参して見せればいいのだ。
「少しは勉強しろ!」

 内科医の守備範囲はとても広い。
 開業医じゃ知らなくて格別不思議でもなんでもないが、循環器系では、心筋梗塞、脳梗塞(大血管障害)防止目的として、ずいぶん以前から食後高血糖に注目していた。
 筆者の東京慈恵医科大学糖尿病・代謝・内分泌科の西村利明講師は、循環器系じゃなさそうだ。
 私の主治医の反応の様子からしても、糖尿病専門医の場合、第一管理指標はヘモグロビンA1cと思っていたが、急にどうしたの? 

 新聞記事は切り抜いておくものだ。
 2008/1/13付朝日新聞に「かくれ糖尿病」についての記事があった。その時取材されていたのが西村講師。
 半年前の健診でヘモグロビンA1c5.7%。空腹時血糖値107で健常人判定。高血圧も高コレステロールでもない52歳の男性が、急性心筋梗塞で2007年の夏、慈恵会医科大学付属病院へ担ぎ込まれ、ステントを入れて助かった。
 ちょうどぴったりの事例ができたのだが……。
070926idf
 なになに、2007年9月IDF(国際糖尿病連合)の「食後高血糖の治療ガイドライン」 目標値――食後血糖値140mg/ml !
 こりゃひどい、もとえ、すごい。……誰が達成できるんだ?  

 IDFが新しい糖尿病治療ガイドラインを発表 食後血糖値の管理を強調。原文はこっち→第43回欧州糖尿病学会発表

 これまでは空腹時血糖値や食前血糖値の低下を推奨することが多く、改訂前のガイドラインには食後血糖値のコントロールについての内容が少なかった。しかし、最近の研究の多くは、糖尿病患者の中の食後血糖値のコントロールとの関連を示唆している。

 何をいまさら(´ヘ`;) 
 メタボリック・シンドロームは、昔<死の四重奏(2000年頃)>という名前で出ていました。シンドロームXに、危険物重複症候群、インスリン抵抗性症候群なんて言われ方もされていたみたい。
 アメリカ心臓病協会が提唱していたが、当時のADA(アメリカ糖尿病協会)はあわてることはないとブレーキをかけていたという記事が河合さんのところにある。やっと意見がそろったのかしら? 
糖尿病でない人では、食後血糖値が140mg/dL(7.8mmol/L)より高くなることは稀で、通常は食後2~3時間で食前の血糖値に戻る。もっとも実際的な食後血糖値の測定法として、血糖自己測定(SMBG)を推奨している。SMBGによって、糖尿病患者は自分の血糖値をリアルタイムに知ることができ、血糖コントロールに役立てることができる。

 Dr.バーンスタインも感無量だろう。

 「食後血糖値を測定すべし!」
 A先生が、騒ぎ始めた理由もこれか!
 どっちが先なのかは尋ねてみなければわからないが24時間血糖変動に書いたCGM(24時間連続の持続血糖モニター――たぶんアメリカ製)によるデータが、この記事の裏付けになったのだろう。

健常人は、何を食べようが、何をしようが、食後のいつの時点においてであろうが、やはり血糖値140mg/dlを越えることはありませんでした。

 ……そんなあ、はっきり言われちゃうと辛い(´ヘ`;)

 問題の男性はOGTT(ブドウ糖負荷試験)をやってみたら食後2時間値253! だった。いわゆる検査もれで、肥満(BMI記載なし)傾向ではあったらしいが、さて、どうしたらいいのか? 
 残念ながら、早期発見以外に、打つ手はないようだ。

食後の高血糖が、動脈の内側にある内皮細胞を傷つけ、動脈硬化をすすめるようです。

 あらあ、これってどっかで見た文章(´ヘ`;)
 <ようです>ってんだから、ご本人に実地検証の経験はなく、明記された文献も持っていないと見た――それで、えんやこらせえと文学的考察をしてみたのだ。
 リスクを知っておいて損はないわけで、それはそれでいいんだけど、脅してばっかりでどうする。サプリメント販売テクニックじゃないというなら、対応方法もちゃんと示してもらわなきゃ。

 妊娠時の管理指標ヘモグロビンA1c5.8%以下よりは緩やかだが、空腹時血糖値100mg/dl以下、食後2時間値140mg/dlを守るのは、大変。守れたら、自動的にヘモグロビンA1cはもっと低くなるはず。  

 (追記)血糖値とヘモグロビンA1cの相関が狂うことはある。
     (健康上、実害はないようだが……)
     ヘモグロビンが陰性荷電していると、高め! 
     陽性荷電していると、低めのヘモグロビンA1cに! 
     通常の高速液体クロマトグラフ(HPLC)法では、
     変異ヘモグロビンをカウントできない場合があるようだ。
     その場合は、免疫学的測定法を利用する。

 以前、済生会中央病院松岡先生がIDFのお偉いさんたちのノリは「とりあえず決めてみよう」的だって書いていたことがある。
 今回もあくまで目標値に過ぎず、整合性なんてどうでもいいと思っているのかもしれない。
 本気じゃないから、大騒ぎになっていないのかな? 

 食後血糖値を是正するには大きく3つの方法がある。
 毎度おなじみ食事・運動に、薬物、インスリン。
 妊娠女性同様、実現しようとするなら、超速効インスリン投与が一等手っ取り早い。
 で、副作用は低血糖なんて、シラっと書いている。
 ずいぶん淡々としているなあ、おいおい、どこまで本気なの? 
 20年先、30年先の動脈硬化による様々なリスクと、毎日の管理ストレスに低血糖障害発生のリスク。どっちがお得? 
 歩行による低下効果が、やっぱりすばらしいものであるとのデータが取れたのは、ご同慶の至り。
 しかし、もっとも重視しなければならない食事については……多忙で、頭を回す余裕がないのかなあ(´ヘ`;)
 私に使わせてくれれば、おもしろいデータをいっぱい作れるのに。

GI(グリセミック・インデックス)が低い食べ物を選ぶとよいでしょう。
 
 あらあ(´ヘ`;) これもどっかで見た文章。
 どうしたらいいかわからないと、ワラにもすがるしかないから、あてにならないGIに頼ったりするのは、行動心理学的共通パターンとでもいうしかない。
 白米より玄米――2004年に松岡先生だって「どっちも一緒に上がる」っておっしゃった。問題は<カーボの量>だってことが、CGM(24時間連続の持続血糖モニタ)を使っていても、わからないままなのだろうか?
 カーボカウントって言葉はどこにも出てこない。タブーなのかしら? 
食事はゆっくりかんで食べること。

 あらあ(´ヘ`;) どうして無批判に、いつまでも古い知識を受け売りするんだろう。GIを持ち出しているんだから、噛めば噛むほど、食品は分解されて吸収しやすくなる――つまりはGI値を高める行為になるって結果が出た噛めば噛むほど高血糖での数値変動は間違っていないと考える。
 
 経験上、これは以下のように言い換えるべきだと思う。

 胃が悪い人はとことん噛んでね。玄米は丸呑みしたら、そのまま流れちゃって無駄になる(!)かもしれないから特にね。
 でも一口飲み込んだら、間をあけるために5分くらいおしゃべりしましょう。早食いは禁物。食事時間をたっぷり取るのが、すい臓に負担をかけないコツです。

 できるかなあ? 
 紺屋の白袴を避けるべく、糖尿病専門医がイタリア並みに昼食設定して、日中の休業時間を2時間に設定したら? 
 ……ただでさえ多い患者の処理は不可能だろう。さすがにメタボ専門医は少なそうだが、危険段階メタボ内科医はけっこう存在する。
 勤務医の方がそれを主張したら、事務局はどうするだろう?
「合併症になれば、戦士として本望と思うべし」なんて、言ったら人非人だろうけど、自発的意思を妨げるものではありません――語らずにそう言う管理職はいそうって、それは言いすぎだよね、うん。
 閑話休題。
 かくれ糖尿病発見の為には、現時点では、食後の血糖値測定しか方法がない。もし本当にそれが普及していくとしら、今度こそ日本でも食品交換表が死ぬだろう。医師の指示単位を守っていたら高血糖続出で、みんなパニックになるもんね。脂質増強によるカーボ吸収遅延テクニックなんて、思いつきもしないだろうし。
 栄養指導の成果が上がらず、患者を疑うか、高血糖を傍観する日々を送ってきた栄養士さんたちにとっては福音かもしれない。
 患者が自分で測定する分には、法律違反(医療行為)じゃない。これからは栄養指導の結果がすぐ見えることになる――あれ、自分の頭を使わなきゃいけなくなるから、バイブル(食品交換表)を喪失する方が辛いかな? 
 IDF(国際糖尿病連合)のアピールはすぐ浸透するのに、ADA(アメリカ糖尿病協会)のカーボカウントが10年以上たっているのに、理解されないのはとても不思議な話。
 いろいろあるんだろうな、大人の世界には。

 (追記)食事術について補足。
 糖尿病性神経障害を発症している方は、もっとややこしくなります。自律神経が働かず、そもそも吸収すらしない場合があるからです。徹底的によく噛むべき……それよりブドウ糖補給(点滴)の方が確実でしょうが、使わないともっと機能しなくなるのが内臓パーツ。
 胃下垂で、食べたものを腸に送るのが遅れる傾向にある方も、一般的傾向からはずれることが多いようです。こっちには通用するでしょうが……。
 そう! 
 各個人の代謝は様々です。血糖測定――つまりはカーボカウントは、それを調べる有効な道具として使えるはずです。

|

« 動脈硬化の文学的考察 | トップページ | 血糖測定器回収の告知 »

コメント

 YCATさんこんにちは。
 tetug3と申します。
 連休から帰宅してみるとYCATさんのすてきな記事がありました。
「時代がカーボカウントを呼ぶか?」呼びます。きっと呼びます。
 ぼくの父は(もう80才近い老人です)50代後半で糖尿病になりカロリー制限で15キロ程体重を落とし食品交換表の食事療法でずっとやってきました。20年程たった頃狭心症の発作を起こし心臓の動脈のバイパス手術を受けました。原因は糖尿病による動脈硬化です。
 父から飢餓遺伝子をしっかりと受け継ぎ同じような年で糖尿が発覚したぼくとしては父の通った道は決して歩むまいと決めています。父と同じようにカロリー制限の食事療法をしていては20年後にきっと動脈硬化を起こしていることでしょうから。
 カーボカウントによる糖質制限食をはじめてまだ半年位なのですがぼくには劇的な効果がありました。こんなに効果的な方法を時代が放っておくはずがありません。

投稿: tetug3 | 2008年5月 6日 (火) 19:22

 いらっしゃいませ、tetug3さん。
 違う場所で、『かんたんカーボカウント』編者の川村先生が嘆いていると書かれていました。
 インスリン投与により血糖測定必須の1型患者さんを扱っている先生方の間で、カーボカウントを知っているのは、俺だけしかいなかった――だそうです。
 どんな状況だったのかわからないので、なんとも言えませんが、知らない人はずっと知らずに過ぎていくってことが、この世にはたくさんあります。
 気がついてみたら、山は動いていた。
 アメリカでDr.バーンスタインがそう思えるようになったのは、活動を始めて医師になって……累計20年以上たってからと思われます。日本でもどうにかなるといいですね。

投稿: (管) | 2008年5月 7日 (水) 00:58

 こんばんは! いつもいつもありがとうございます。
 knackeさんからメールいただきました。
 お礼を言いたくて、コメント欄から失礼いたします。
 結果が出にくい(多分出ない)食事指導から、自分が代謝できる量を知ることから始める。
 それが、一番大事なんだと痛感した一年です。
 それでも、医師やら親戚人やら、頭がガチガチの人々が多くて、困る時も多々アリ。。。

 今の疑問は、測定器の数値があまりにも違う事です。
 アビバとウルトラを使って比べると、いつでもアビバが20~40高いんです・・・。いつでもって所が謎で、その時によって偏れば、まだしも……

 ウルトラ167
 アビバ 209

 時々、夕食に糖質トライした時に測った1Hの値ですが、こんなのばっかりです。

 まぁ、どちらかに統一すれば良いのかもしれないけれど、食事の量にも関わってくるので、個人的には大問題なのです・・。
 体感も時には当たりますが、あまりアテにならないような気がします。
 代謝はほんと、難しいです。

投稿: mitiyo | 2008年5月 7日 (水) 23:23

 お久しぶりです、mitiyoさん。

>いつでもって所が謎で

 いつでも違うって方が安心です。
 測定された指先全血を、静脈血漿値に換算するのか、動脈血漿血に換算するなのか? 測定法も、電極法と比色法があり、測定器ごとの差はあっても不思議はありません。
 時々違うとなると、どっちかが性能不安定ってことになります。

 40程度なら気にしないってのが、私の姿勢だってのは、わかってらっしゃいますよね。朝日新聞の患者さんが、本当に突然だったのか少々疑問です。肥満傾向にある人の中性脂肪が健全値だったとは思いにくいです。境界値で見逃したか、あるいは<アンコの三日断ち>同様、健診前の食生活をごまかしたのか? 
 ヘモグロビンA1cが低い方の抹消血管障害は珍しいです。高い方は、自律神経障害で、痛みを感じないため、それこそ突然、心筋梗塞で死にますが、この方にはなんらかの予兆があったと思うんですけどね。
 心臓が締めつけられる! とか。
 知識がないから、気のせいとか、奥さんの視線のせいとか思っていたんじゃないかしら。
 大血管障害は、前の記事に書いたように、早期発見が難しいのは確かです。でも日々数値を把握しておいて、上昇傾向が見えてきたら、その時考えるで、十分だと思っています。
 たぶん血圧が上昇気味になると思うんですがね……。

 本当に、突然来るってんなら、飛行機が墜落するのと同じようなものです。ANAにするか、JAL、もとえ中華航空にするか――数値を高めを選ぶか、低めにするかはmitiyoさんの選択になりますが、どちらかに統一すべきです。そうじゃないと、カーボの影響を統一的に見ることができなくなると考えます。
 役に立たない医師とあわせてもしょうがないと、お思いかもしれませんが、将来、ちゃんと数値の意味を読み取ってくれるようになるか、そのような医師にめぐりあえるかもしれません。
 ヘモグロビンA1c検査時に、血糖値も測定すると思います。食後であれ、空腹時であれ、その時、血を少しもらって、両方の機器でも測定してください。
 腕からの採血データが、医師の管理データとなるわけですから、それに近い方を今後採用しておくべきだと考えます。
 機種による違いの他に、同じ機種でも、個々の測定器ごとに違いがでる可能性だってありえるわけで、私はそのようにしております。

投稿: (管) | 2008年5月 8日 (木) 00:43

 国際糖尿病連合の新しいガイドラインは昨年9月に発表されているようですが、実際、開業している専門医の方がそれを意識するのはいつ頃なのでしょうね?
 YCATさんが通院されている病院は総合病院ですし、院内に患者の会があり会報まで発行される病院なので、そこの先生なら、反応も早そうですね。

 HbA1c、空腹時血糖値と問題がないので、食後血糖値をさほど気にする必要もないと言われたその年内にこれが発表されるとは・・・(苦笑)
 医師に指導されたわけでなく、自分でネットでカーボカウントを知ったとはいえ、それでも発覚した年にこの流れになるというのはラッキーと思おう。

 食事に関しては、積み重ねてきたデータがあるYCATさんには
もどかしいばかりでしょうね。
 私への説明もかなり 御苦労があったとは思うのですが(ありがとうございます)長らくこの病気に罹患されてきた患者さんで、特にご年配の方、新しいスタイルについて理解できるように説明するのも大変そうです・・・

>各個人の代謝は様々です。
>血糖測定――つまりはカーボカウントは、
>それを調べる有効な道具として使えるはずです。

 説明するより、リアル数値を見せるのは説得力もありますね。
 大人の事情て、なんなんじゃ! って言いたくなります。
 それによりコントロールが悪くなり、過ぎた時間を取り戻せない方がいることはあまりに悲しいことです。
 どうしたらカーボカウントや、カーボを摂取→消化吸収を見守る? ことについて広まるのでしょうね・・・

投稿: knacke | 2008年5月 8日 (木) 22:23

>YCATさんが通院されている病院は総合病院ですし

 現在通っているのは、そこを卒業した主治医のクリニックです。
 済生会中央病院は、後藤先生の呼びかけに応えて、食品交換表導入に尽力するなど、糖尿病患者への対応については中心的位置にあります。
 情報は早いですが、反応が敏速かというと、歴史の重みもあるので、どうかなあ……。

 ところで、もし慈善に関心があってお手元に余裕があったらでけっこうですが、あかばね会につきあってやってください。半年分だけでもいかがでしょう? 
 ひつまぶしでも食わせてもらって、高血糖にしてもらった方が、個人的にはうれしいんだけどさ(´ヘ`;)

投稿: (管) | 2008年5月10日 (土) 15:55

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/95944/41064511

この記事へのトラックバック一覧です: 時代がカーボカウントを呼ぶか?:

« 動脈硬化の文学的考察 | トップページ | 血糖測定器回収の告知 »