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2007年10月11日 (木)

カーボカウント実践例一覧

 仮説/計画(Plan)実験/行動(Do)検証/評価(Check)。

 売れないセールスマンにとって、上司の説教ほど腹の立つものはない。新人クン扱いするな!
プラン・ドゥ・チェックしろ! 頭を使え、月給泥棒」
 じゃあ、自分で売ってこい! 
 多様な価値感に、気分次第の購買心理。消費者の購買動機ほど制御不能なものはない。何を考えて金を出すのか、誰もわからない。
 売上が増えた時だけ「言ったとおりだ」と力説する上司はあとを絶たない。歴史は繰り返す。困ったもんだ。

 拡販方針は、大別すると二つに分かれる。
 ひとつはエビデンス(過去実績)に基づく販売計画。もうひとつは、おなじみ、数打ちゃ当たる精神主義。どちらにも一長一短があり、完璧な成功方程式は存在しない。

 なんでもありの試行錯誤を繰り返し、成功したもの(あるいはツキがあったもの)だけが生き延びてきたのが生命の遺伝子。機会をつかむ努力をしないものにチャンスはないけれど、そんなあなたまかせのギャンブルじゃたまらんと、観察、思考によるプラン・ドゥ・チェックを始めたからこそ、人類はここまで来たのだろう。
 要素を単純化できれば、因果関係の具体化は容易だ。しかしながら人間心理は一様じゃない。だから物を売るのは大変なのだ。
 同様に、要素を単純化できないダイエット(体重管理)、糖尿病(血糖管理)も、長年制御不能な分野だった。だからこそ、カリスマ導師の存在が許され、海千山千の指導者が諸説をかかげて乱立することになる。書店の実用書の棚を見よ。唐人の寝言満載の紙くずがいっぱいだ!
 60日後のヘモグロビンA1c数値には、糖尿病を良くする料理レシピなんて、何の役にも立たない。できるだけ食うな! そう言った方が早い。それが今のカロリー食事管理の本質だ。
 それでも続々出版されるのは、いかに奥様が今晩の献立をどうするか悩んでいるかってことだろう。「糖尿病の旦那なんて、何を食わせればいいのかしら、ああ、メンドクサイ!」

 ここに登場したのが、カーボカウントだ。問題は、食べるものの種類ではない。量だ。さらに絞り込めばポイントは<カーボ>だ。糖尿病患者のためのカーボカウントに掲載された実践例のように、要素を明確にし因果関係が見えるようになれば、行動指針が立てやすくなり、自然、結果もついてくる。わかってみれば当たり前のことだ。
 過去記事にも書いたように、背景には、血糖値の自己測定が容易になったことがある。テクノロジーバンザイ!

第2章 カーボカウントとは何か? 
 P16 Mr.ジョー 56歳 航空機整備士 2型 高血圧
 →体重減少 食前血糖値通常化 食後血糖値低下
第4章 どのくらい食事や間食をとりますか? 
 P32 Ms.スー 35歳 食品巡回販売員 1型 インスリン使用
 →インスリンによる低血糖減少で捕食の手間排除 体重減少
第5章 カーボカウントを始めましょう
 P49 Ms.ジェーン 45歳 学校教師 2型
 →昼食後と夕食後の生活強度判明 夕食後血糖値低下
第6章 たんぱく質、脂肪、アルコールもカウントします
 P55 Ms.ジャン 年齢職業不明 1型 インスリン使用
 →超速効インスリンを打つタイミング変更
 P56 Mr.エリック 年齢職業不明 2型太め
 →ピザの血糖上昇の謎に関心
第7章 食品の計量~成功への鍵~
 P73 Ms.リタ 52歳主婦(?)2型163cm薬対応も83kgまで体重増
 →食事記録から、種類を選択しても量を測定していないと判明
第9章 便利な食べ物とレシピ~数え方と管理のしかた~
 P94 Mr.ジョージ 年齢不明 若い2型 多忙な頭脳労働者? 
 →カーボ35gなのに、食後2時間値220-250mg/dl
  加工食品の成分表示の読み違いが原因と突き止めた。
第10章 レストランでの食事~数え方と管理のしかた~
 P105 Mr.JB 年齢職業不明 1型と推測 外食好き
 →食後血糖値の状況から、中華、日本/メキシコ/ギリシャ料理に
   含まれるカーボ量を推定 栄養士と共同で測定検証
   量さえチェックすれば、世界どこの料理でも
   今までどおり、食べ続けられることを証明できた。
第11章 血糖変動パターンによる調節
 実際のカーボカウント事例が、たくさん紹介されている。それぞれ、1-パターンを見つけ、2-理解し、3-プラン・ドゥ・チェックしている。
 理解するにこしたことはないが、アメリカ式計量法によるサイズ(食品全体量)の読み替えは、無理にする必要はない。日本の食品分析表にもとづくようにするか、あるいは日本の成分表示を、自己血糖測定で調整していけばいいだけのことだ。食事の量については、とりあえず無視して、カーボ量だけを見ましょう。

 P113 Mr.FW 45歳 178cm102kg 職業不明 2型
 →血糖と摂取カーボ量の相関関係を知り、高血糖の原因把握
   毎食ごとのカーボ管理と昼食後の15分歩行を採用
 P113 Ms.ロベルタ 60歳 独身 2型アマリール、アクトス使用
 →血糖測定とカーボ記録から、血糖変動パターン発見。
   やる気向上。
 P115 Mr.DT 34歳 1型歴14年 インスリン使用
 →データ記録から、遅い時間の昼食による低血糖危険に対応
 P121 Mr.ラリー 35歳 建設作業員 1型 インスリン使用
 →詳細記録により、肉体労働時にはカーボを追加するなど、
   平日と週末の生活強度量の相違に対応しやすくなった。
 
 この章のまとめ。<多くチェックするのではなく、賢くチェックしましょう>は、私の記事血糖測定の本当の価値とまったく同じ意味である。
   
応用編
第12章 心の準備、希望、そして前進できるか? 

 P129 Mr.ボブ 67歳 元エンジニア退職後2年 2型歴17年
     経口薬服用以外、無管理状態で、糖尿病性網膜症発症。
 →血糖測定の回数を増加して、高血糖が多いことを発見。
   インスリン採用を受け入れ。同時にカーボカウント学習へ
 P161 Ms.マディー 71歳 元小学校数学教師 2型歴16年
     ヘモグロビンA1cほぼ9%。
     一度カーボカウントの基礎を紹介されたが、うまく消化できず
       放置状態? 経口薬を導入し、それが最大用量に達し、
       インスリン導入を医師に勧告された。
       たまたま地方紙から、同じ仲間の存在を知り、
       そこで得た友人たちから、道が開けた。
 →その紹介で応用編を学習。カーボ量に合わせた速効型
   インスリン量の調節ができるようになった。
 
 この二つの事例は、基礎編の事例とちょっと毛色が違っている。
 最終的には、応用編の実践事例となったわけだが、プラン・ドゥ・チェックは、本人のやる気次第だという証明でもあろう。

 ダメなセールスマンに必要なのは、理屈じゃない。
 奥さん(暖かい 紫煙、もとえ支援)だったり、金がほしい(合併症の影)などのモチベーションが一番効果的だ。一度その気になれば、プラン・ドゥ・チェックほど有効な武器はないんだけど、なかなかやる気にならないのもまた人類の特徴(´ヘ`;)

 アイデアがなにもなかった時代。
 尿に糖が出るなら、食事させるな! なんて、飢餓療法まであった糖尿病暗黒時代に、アメリカで見つけた食品交換表は、日本の医師にとって、およそ画期的だったろう。
 しかし、時代は進化する。
 
 カーボカウント→血糖値の測定がセットなので、すぐ結果が見える。
           食後高血糖は、空腹時高血糖につながり
           ひいては、ヘモグロビンA1cが高くなる。      
 食品交換表 →ヘモグロビンA1cの検査結果待ち。 
           何が悪かったのか、よくわからんので、
           カロリー過剰(食べすぎ)を疑われる羽目になる。

 エビデンス(科学的根拠にもとづく治療)といったところで、再現性を確認できるほどの科学的事実をつかむには、まだかなりの時間が必要だ。それでも1型患者によるDCCTによって、ある程度検証され欧米で採用されているカーボカウントが日本で採用されないのはなぜだろう? 
 欧米人でのDCCTであって日本で適用可能か議論が残る。
 ごもっとも。一理ある。しかし、日本の食事療法のエビデンス(カーボは指示食事量の50-60%)の位置づけは<コンセンサス>でしかない。
 絶対間違っていると言える根拠はない。
 しかし、コンセンサス(研究はないものの広く認知されているもの)とは何事か? 前例踏襲主義、早い話がただの<思い込み>だってことじゃん(´ヘ`;) ああ、バカの壁。
 すでに長すぎるので、エビデンスについては稿を改めます

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コメント

 そっか〜、日々のカーボカウントって小さなPDCAサイクルなんですね。んで、これが積み重なって大きなPDCAサイクル=合併症回避につながると・・・。
 ISOなんちゃらを導入すると、マニュアル至上主義が弊害として現れますんで、血糖コントロールについては、現場主義とマニュアルのいいとこどりで、やってきたいです。

 件の本は原書を買って積んどくしてたら、翻訳が出てしまいました。くやしいので、まだ、読んでません。

投稿: saka10 | 2007年10月12日 (金) 16:31

 こんばんは、saka10さん。
 PDCAの解説はやっぱり、うぃぃぃ~きがわかりやすいですね。
 私が最初に聞かされた(あら、もう30年前じゃ)頃はなかったんですが、いつのまにか<A-改善、修正>がついてました。

 もう<カーボカウント>概念が、十分わかっているようですから、読む必要はないと思います。ただ第11章 Blood Glucose Pattern Manegement A KEY TO FINE-TUNING YOUR CONTROL(血糖変動パターンによる調節) ~厳格な血糖コントロールのコツ~ の冒頭の1ページは、目を通す価値があります。

 「言うまでもなく、血糖コントロールというのは挫折の連続です(中略)しかしよいことは、血糖変動の起伏を小さくできること(略)目標範囲に入っている時間が多くなれば、短期、および長期にわたって健康にいい研究成果あり」とあるように、ちょっとユルメでよろしいんじゃないでしょうか。
 <厳格な>で間違っているとは言えませんが、本文からすると、ファインチューニングは、一昔前のアナログラジオのように<なるべくノイズの少ない>チャンネルを探すって意味でしょう。現時点ではジャストフィットは不可能です。時代がさらに進化すれば、デジタルチューニングできる日も来るでしょうが。

 各個人それぞれ違って当たり前ですから、経験をデータベース(そうだけど大げさ! 頭に入れて)化して、毎日フィードバック(好き! この言葉)
 ……IDDM超ベテランのちかりんさんも言っていましたが、それもこれも超速攻インスリン様のおかげです。エネルギー補給の自由度が高まったからこそ、遊ぶこともできるようになったわけで、ついでに(低血糖危機から)カーボカウントのエビデンス確立への道も開けて、2型も恩恵を被れるようになった。
         ↑
 へええ、(こうむれる)この漢字を使うんだ。

 すぐ死にゃしませんから<なんちゃって>に同感しますが、呑み過ぎ低血糖にはご用心。美しい(会っていなくてもテキストから見えます)奥様が泣きます。
 びっくり! したと思いますよぉ。

投稿: (管) | 2007年10月13日 (土) 05:05

 思い出しましたので、補足。
天使と悪魔のビジネス用語辞典PDCAについての疑問があります。
 ひねくれた人は多いですねえ。うなづいちゃうけど。

投稿: (管) | 2007年10月23日 (火) 08:09

 カーボカウントの本について、教えていただきありがとうございました。
 こちらのブログで、カーボカウントのことを、詳しく知るきっかけになったこと、感謝しております。
 本当にありがとうございます。

 現在、まだカーボカウントを知って約2週間、自分の身体で血糖測定をして、調査中の段階です。
 おっしゃっていた「カーボカウントの本質は、血糖測定とそのフィードバック」という言葉が、痛い程わかります。
(妊娠中は、苦労しました。血糖管理に・・・カーボカウントを知っていれば、もっとちゃんと、できていたかも。)
 これからも、こちらのブログお邪魔させていただきます。よろしくお願いします。
 そして、低血糖なくして、夢のA1c5%後半をだせたらなぁと思っています。

投稿: ひまわり | 2008年7月 4日 (金) 23:41

 ひまわりさん、遅レスすいません。
 私のような2型は、まだ(なけなしでも)自己分泌があるので、多少いい加減でも、過食しなければどうにかなりますが、18年前1型発症ということは、最初は速効タイプインスリンで管理されていたわけですよね。
 油断するとすぐ低血糖を起こし、あわてて捕食すると今度は高血糖。結局、食事量制限――空腹に苦しんだのではないかと想像します。
 ヘモグロビンA1c6前半を維持できた方は少なく超速効に救われた方が多いはずです。
 
>ファインチューニングは、一昔前のアナログラジオのように
><なるべくノイズの少ない>チャンネルを探すって意味でしょう。
>現時点ではジャストフィットは不可能です。

 上のレスにもありますように、正常代謝を、人為的に真似るのは非常に難しいものがあります。『カーボカウンティング実践ガイド』で、同じ1型の<管理抜群>だったはずの黒田先生が、ポンプ実装で無自覚低血糖の閾値が上がったと書かれているのは象徴的です。

>低血糖なくして、夢のA1c5%後半をだせたらなぁ

 血糖値の上下動はヘモグロビンA1c管理上重要ではありますが、要は合併症を起こさないようにするのが目的です。saka10さんも1型ですが、ちょっとユルメでQOL(生活の質)を維持されているようです。
 そこに必要だけど、糖代謝異常者にとっては、危険でもあるカーボを飼いならす手法として、カーボカウントは有効です。因果関係が見えれば、行動しやすくなるのですから。

投稿: (管) | 2008年7月 6日 (日) 19:33

 そうでした。速効タイプインスリンの時代があったんですね。
 食事までの待ち時間30分の途中で、低血糖になり、昏睡状態になったこともありました。
 それを、きっかけに超速効タイプに変更してもらったのです。
 無自覚低血糖は、私の課題でもあります。
 ちょっと、低いかなと思って、測定するとLOですから・・・

 確かに、生活の質を維持し、合併症を起こさないようにするのが、コントロールの目的なのですから、カーボカウントを有効に活用できるよう励んでみます。

投稿: ひまわり | 2008年7月 7日 (月) 20:30

 どうしようもなくなったら、インスリンポンプも選択肢に入れるべきかもしれませんね、ひまわりさん。 
 右にリンクしているIDDM生活向上委員会のコクボさんも、時々しくじってます。いつも完璧なんて無理ですし、それで即合併症ってことはないと思います。
 眼底検査に尿アルブミンチェックだけやっておけば、抹消血管障害とは戦えると思っています。
 大血管障害対策としては、むしろインスリンの使いすぎで肥満して高血圧だったりすると、低いヘモグロビンA1cでもあぶなかったりするようです。それで私はヘモグロビンA1c6前後程度を狙って、甘味食いにいそしんでいるわけです。 

投稿: (管) | 2008年7月 7日 (月) 23:31

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