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2007年10月 8日 (月)

文芸春秋雑感-3 ただの老人メタボ

ぼくは全身「生活習慣病」』は高血圧/痛風/糖尿病の三重苦に陥っている患者の立花隆さんを反面教師にした、その主治医である永井良三東大医学部教授の対談。
 ……とはいえ、苦しんでいるというより、楽しんでいるように見えてしまう。危機意識はどこにある? 

 <知の巨人>立花大先生には、いろいろと目のうろこを落としてもらった。尊敬に価する人の一人だ。<ボケ立花隆>と罵倒しまくろうと思ったが、あまりに恐れ多い。アイドルとは違う人種だから、下手なことを書いてもカミソリ入り封筒は来ないとは思うけど、いろいろ紆余曲折森羅万象袋小路で悶々。
 結論――バカ(の壁でボケている)がけっぷちデブ! 
 そう呼ぶしかないのが、悲しい(´ヘ`;)
 生きるも死ぬも、立花さんの自由選択。半身不随に陥って床ずれに苦しみつつ、多数のマカロニチューブ接続で<生き続けさせられる>羽目になってたとしても後悔しない。「それも面白いね」ってんなら、他人としては何も言いようがない。

 大ノンフィクション作家柳田邦男さんの『新・がん50人の勇気 終章・魂のリサイクル』に登場するノンフィクション作家黒沼克史さん。
 2005年、肺ガンで死去。丁年49歳。
 主因は、大の医者嫌い。
 やっと行った整形病院などで、頚椎ヘルニアなんて誤診でもたつき、最終的に末期癌状態が判明。手遅れ。
 サイエンス・ライター金子隆一さん。
 1999年に糖尿病性網膜炎まで発症し、済生会中央病院に緊急入院――あら、私の4年先輩。
 その糖尿病体験記を、今頃になって発見。 
 175cmで、長年体重100kg(その後88kgまで減少)状態(´ヘ`;)
 やけに視界がゆがむなあ! それで、やっと気がついたんだと。
 網膜症でそこまで自覚症状がでちゃあ、手遅れ。
 最先端の科学を一般に紹介することにかけては、第一人者といってもいい。私などには理解不能な思考を解きほぐす力があるくせに、足元の糖尿病のことなど、まるで頭になかったらしい。

 いつまでも若いと思うな、おんぼろ車。

 同じバカをやった私だから、尚更彼らに同情はできない。自由業の宿命? 自己管理能力の欠如を職業のせいにしちゃいけない。
 ……私が助かったのは、ほんの偶然だろう(´ヘ`;)
「俺は毎日元気。健康診断なんて病人のやることさ」
 締め切り前は張り切って徹夜してたんだろうなあ、きっと。
 暴走、爆走に車体がもつのは、ほんの短い期間に過ぎない。車検切れに気をつけよう! 

 『新・がん50人の勇気 終章・魂のリサイクル』冒頭に登場する将棋棋士村山聖さんは、まったく違うケース。
 腎臓ネフローゼという持病を抱え、師匠と一緒に苦闘<生きられる時間>を精一杯生きて、29歳で夭折した彼の生涯は、大崎善生著『聖の青春』。そしてそれを原作とした山本おさむ著のマンガで読める。
 実際の現実が、どうであったか? そこまでは知らない。でも、ある程度の結果を残せたんだもん、凡夫としてはうらやむ気持ちがある。
  しかし、大学病院のチョンボで検査もれ。それで癌の早期発見に失敗したなんて知らなかった。患者としての情報収集を、どこまでやれたんだろう? せっかく注意深く生き抜いていたというのに!
 なんだか、とても悔しい。

 黒沼さんの肩の痛み――私も、ほんとに頚椎ヘルニア? 一般健診でレントゲンは撮ったけど、見落としはない? 
 金子さんの視界歪み――飛蚊症が一歩進んで、なんだか糸くず的な気がしないでもない。眼底検査は、やったけど、あの若いお姉ちゃん、大丈夫? 

 想定外で、道路が突然陥没したら、それはそれ!
 
 立花さんも、すでに67歳。振り返ってみれば、もう30年以上、最前線で戦ってきたことになる。出版社は怒るだろうけど、リタイア不可と強制する資格のある人はいないだろう。養老さんの言うように、あとはもう勝手にして、なるようになれ、脳梗塞ヨイヨイ人生もまたヨシ!  

立花「親父の最晩年を見ていて(中略)仕事のアウトプットのできない人生は、ほとんど意味がないという気がしたんです」

 ……まだまだ未練、執着でいっぱいみたいだぞ。
立花「メタボリックに神経質になるのも考えものですよね。いまは日本中の人たちが過剰な医学情報に溺れて心配しすぎていると思う。(中略)デカ腹になっても、(ポンとお腹を叩いて)<これが貫禄ってもんだよ>というひと言で済ませた時代がこの前まであったじゃないですか(笑)」

 その時代に、貫禄たっぷりの企業戦士が、40代50代に、最前線でばたばた戦死。だからこそメタボリックシンドロームが話題になっている。同窓生(東大)名簿に、何人名前が残っているやら。
立花「いまはわりと頑張っているんです。(中略)体調が良くなるので、執筆の面でも効率的です。最近は1万歩越さない日の方が珍しい」

 頚動脈に軽い動脈硬化が見つかって、全身にあるものと認識しろと言われて、多少は生活習慣改善への意欲は出たようだ。でも、これじゃ15年前の患者だ。情報収集のトッププロの癖に!
 生活強度の意味を理解したら、一日置き6000歩で十分。1万歩も歩く時間がもったいない。
 食後とかに効率よく配分する習慣が身につけば、内臓脂肪だって楽に落とせる。同じ出版社なんだから、牧田先生の『糖尿病専門医にまかせなさい』を誰か渡してあげるといいのに(´ヘ`;)
 頭の回転の速い立花さんなら、読めば一目瞭然のはずだ。
 永井先生は、たぶん良医だろうと思う。説明能力が高く、現時点での科学的事実と推論を明確につかんで、しかもそれを患者に話す勇気も持っている。(立花さんだから?)
 しかし、ぽっかり抜けているのはカーボカウントだ。

 門脇教授お膝元の東大病院らしくアディポネクチン(脂肪細胞)量の測定などやっているのが目新しい。でも、これは摂食/代謝後の、結果でしかない。原因を見つける気はないのか!
 動脈硬化への善玉的関与、脳内の食欲管理への参加など、その研究には注目すべきものがある。しかし世界が認めたわけではないから、エビデンス(科学的根拠のある医療)はない。現時点では<東大病院でやっている民間療法>と呼んでも間違いじゃない。
 動脈硬化と食後高血糖の関係も、まだエビデンスは確立されていない。疫学的に検証するべく、多数の患者の参加による(つまり人体実験!)研究が進んでいるが、結果が出る頃には、立花さんはヨイヨイになっているか、あるいは逝ってしまっているだろう。
 67歳でヘモグロビンA1c6.6程度であれば、糖尿病の抹消血管合併症のリスクは低い。重要視しているのは、血圧と体重管理だろう。
 原稿一本書くのに、平均3日徹夜するらしい。はて何を、どのくらいの量を食べているのやら(´ヘ`;) そこをつかまずに結果を小田原評定しても、どこへも行けやしない!
 結果を呆然と眺めるのではなく、食後血糖値を測定することで、摂食と代謝の因果関係をつかみ微調整するのがカーボカウント。
 日本でのエビデンスが確立されていない<欧米で1993年以降確立された民間療法>だから、東大病院の永井教授は無視するのだろうけど、これも<バカの壁>のひとつだ。
 というより、例によって栄養学の知識がないのかも。

永井「食事や運動といった生活習慣の改善をせずに、強い薬を使って検査の数字を下げても(中略)数値はすぐ戻ってしまうことが多いのです」

 ……やっぱり知らないんだろうな(´ヘ`;)

 リスクと効果を比較すれば、試してみる価値はある。立花さんなら、それがわかるはずだ。
 どうして知らないの? うしろの壁を崩せ! バカ。

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