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2006年2月21日 (火)

時代は進化する

06022100 2/15発売の糖尿病診療マスター2月増刊号は、実に読みでがある。
 サブタイトルワンランク上の糖尿病療養指導にふさわしく、最新の知見と経験が、実務的に盛り込まれた内容。
 (ほほほほ、ネタが山積み!)
 しかも、ほとんど無駄がない!
 内潟先生、えらい! 
 税込3,675円とお高いが、役に立たない感想と観念だけのゴミより、はるかにお買い得。
 入門書じゃないから、基礎知識がないと、理解不能な部分が多いだろう。しかし、ここから逆引きして調べる手もある。基礎知識程度のことは、ネットに転がっている。
 わかれ! なんてことは言わない。置いておいて眺めるだけでも価値がある。時代遅れの入門書を読んで悩まされるより、はるかにいい――勉強する気があるなら。
 
 いろいろ毀誉褒貶はあれど、心あるひとはちゃんと仕事しているのだ。そうじゃなくっちゃね! 

 治療を受けたわけじゃないから、正確には言えないけど、日野原重明先生もいいけど、松岡健平先生も、実に気持ちのいいおじいちゃん。それは間違いない。
 済生会中央病院では、患者さんたちから、神様のように慕われている。押しつけがましい指導などしないようで、聞き上手なのだと思われる。渋谷診療所の責任者をつとめながら、2代目の日本糖尿病療養指導士(CDE)認定機構理事長に就任された。まさしく適任というべきだろう。
 CDEという仕事は、残念ながら、まだ厚生省のお役人の目線には入っていない。
 看護師さん、栄養士さん、理学療法士さん、検査技師さん、薬剤師さん、もちろん医師の方。それぞれが治療戦線で共同作業するための資格だ。
 取得しても、まだ金にはならない(´ヘ`;)
 合併症を含めそれぞれの病状対応とちがって、生活習慣病は、体重管理/血糖管理、ひいては人生管理にまでつながってしまっているので、対応が難しい。
 <病>と総称すること自体が時代錯誤なのかもしれない。
 医療技術を学んでもらって、宗教家にも参加してもらいたいくらいだ。ナラティブ・アプローチを主唱されている先生もいらっしゃるが、彼らこそココロケア(by桜子さん)の専門家なのだから。 
 
 ――2005/11/18済生会渋谷診療所でのインタビューより 

 内潟――CDEが勤務しているクリニックということで大変はやっているクリニックもあります。(中略)

 松岡――(中略)私のこの済生会渋谷診療所にはCDEは薬剤師の女性しかいないけど、その人でもいてくれればいいです。ほかの看護師たちにもいろいろ教えてくれています。糖尿病外来だけの日ならいいけど、一般の内科診療をかねていて、しかも内科医は私1人などという日には、コメディカルがサポートしてくれることは、非常にありがたいです。
 
 飽食の時代――下手をすると、総人口ひとりひとりに、食事指導/代謝指導しなきゃいけなくなる可能性すらある。
 国民すべてが内科医になればいい!? アホな(´ヘ`;)
 
 松岡先生による、冗談みたいな現実。
 
ある患者さんの血糖コントロールがよくなかったんだけど、皆で手を変え品を変え一生懸命やったら、次の3ヶ月でものすごくよくなった。そのときに、医師は医師で「この間出したメトホルミン(注/インスリン抵抗性改善剤)がよかったんだろう」と思い、看護師は看護師で「私が励まして、やる気にさせたのがよかった」と思い、栄養士は「私の食事指導がよかったんだ」と、三者三様のものがあった。

 理想を言えば、患者自体がCDEであるべきなんだよね。
で、その患者に「いやぁ、よくなったね」と言ったら、「そりゃ、そうだよ、先生。こないだスピード違反で免停になって、3ヶ月間、歩いて顧客まわりしてたからね」って(笑)。これ笑い話じゃない。

 この話の教訓はどこにある?
 データがなければ、真相は永遠に藪の中! 

 笑っている場合ではない――笑うしかない?
「血糖値が下がって、よかったよかった」と結果オーライで、安心。
 原因を特定できぬまま、数年して再発。老化の進展で、さらに基礎代謝が減るのだから、意識していない限り、当然の現象。この場合、えてして合併症を起こしてしまう場合が多いようだ。松岡先生には申し訳ないが、先生もたぶんあきらめているものと私は推測する。
 それが、長年糖尿病治療に関わってきて、まだまだどうにもできない現状。
 糖尿病の治療中断は怖い! 
 だから、そうした言葉になる。
 河合雅幸さんも言うように、目的は合併症を起こさないこと。起きてしまったら、病気の悪化を食い止めること。
 血糖管理、体重管理、そのもとになる食事管理がいい加減である以上、年一度程度の検査! 検査! 検査! は最低条件。
  
 食事療法のエビデンスを完璧にするのは、不可能だ。
 パソコンの進化で、狂信的数値愛好者も楽になった。しかしほとんどは、血糖値を管理しているだけでしかない。結果だけ見て、フィードバックがないなら何の価値もない。
 スポーツの世界に名言がある。<勝ち試合に原因なし>。
 
 主治医にぼやいたことがある。
「何も起きないと、原因が見えないんですよね」
 ヘモグロビンA1cが悪化した2004/2月前後の体重変動。それが、今のところ私の持っている唯一の証拠である。敗北した時――再度の悪化、あるいは合併症を起こしてしまった時こそ、このデータ(食事、運動、代謝結果)が初めて意味を持つだろう。

 まあ、なにも起きずにこの世を去るのが一番。
 世の中の糖尿病患者たち全員に義理があるわけじゃないし、医学の進歩に貢献したいなんて崇高な心がけなんてあるわけもない。
 ――彼岸世界に行ったら、からかわれるかな? 
「ずいぶん無駄に時間を使ったじゃないか。他にやることがあっただろう、え?」
06022199 ハードプリントしているわけじゃないから、後始末は簡単。
 ハードディスク消去――あっという間に、おしまい。
 ええ、単にヒマなんです、はい(´ヘ`;)
 
 山本周五郎は<人間はなにを為したかではなくて、何を為そうとしたかだ>をテーマに小説を書き続けた。人の生涯は―― 

「諸国を遍歴し、八宗の奥義をまなび取って帰ると、一生なにもせず、酒に酔っては寝ころんでくらした、和尚にはわかっていたんだ、人間のすることのむなしさも、生きるということのはかなさも」
 ――『長い坂』新潮文庫版下巻P173
 

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