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2006年1月 6日 (金)

うまい話

06010699 『脳の栄養失調』
 高田明和著 820円+消費税
 講談社ブルーバックス
 
 甘味派、特に洋菓子党には、まことに都合がよさそうな本。ほほほほ。
 この過激な帯! 
 しかもこれは科学解説中心のブルーバックス――エビデンスありなら、最高にうまい話。
 ……そう甘くはなかった。いや甘すぎる(´ヘ`;)
 
 よぉおおく読むと、つまるところは自分の体と相談して食べろって。あったりまえじゃん。壊れるのは私の体で、あんたのじゃない!

 他に『「砂糖は太る」の誤解』『アラキドン酸とアナダマイド』『砂糖百科』『ストレスとうつ』『うつにならない食生活』『食肉生活のススメ』などの著書あり。経歴を読むと1935生。血液と生理学分野で学究生活を送られたらしい。臨床経験は少ないように見える。
 以下が章題。
 1-脳に危険なダイエット 2-ダイエットは脳にどう影響するか 3-脳はおいしいものが好き 4-グルメ脳の仕組み 5-脳の甘党宣言 6-糖尿病は「脳の糖分不足」 7-脳を元気にする肉料理 8-脳には欠かせない脂肪酸 9-脳にはコレステロールが必要 10-脳と脂肪と性ホルモン 11-脳が欲しがる亜鉛とビタミン 12-脳が喜ぶ食べ物 13-惚けずに長生きするために

 甘いものではなく、ブドウ糖そのものが必要とされる理由を、最新の研究を踏まえて説明する脳の甘党宣言には、うなずける部分が多い。
 ブドウ糖で記憶力アップの実験結果(再現性はともかく)。
 脳内物質セロトニンの増加による精神の安定作用
 うん、うん、とニコ(^!^)ニコしちゃう。
 飲兵衛のブドウ糖源には、へええってな感じ。

アルコールは細胞内でピルビン酸になり、さらに酸化されてエネルギーを出します。これは、ブドウ糖の分解が途中から始まったような状態になっているのです。するとブドウ糖は使われずに済むので、その分が脳に回ります。
 だけどねえ……塩が肴ではブドウ糖の量が足りないので、肝臓を守るために、酒を飲むときには、甘いものをいっしょに摂るように勧められています!? は?

 脂肪組織から作られるレプチン(これが不足すると脂肪萎縮性糖尿病となる)の研究で、早食いは太るという言い伝えが、日常感覚とは違って見かけ通りではなさそうとか、ご自分自身嫌っていた砂糖が、実は蕎麦などより害が大きいわけではないと気が付いたり、それなりに新知見を吸収している。しかしこれで、ブルーバックスなの? と言いたくなる無用心さが目立つ。
 医学の細分化(たこつぼ化)で、症例ごとの研究は進んでも、個体としての私たち(脳)の健康管理の視点が足りない。そう大脳生理学の立場から問題提起するのはいいが、以下について、どこまで検証して書かれたのだろうか? 

P45 実際、日本では糖分の摂取が一貫して減ってきています。この30年間で、糖質の摂取量は22%減っているのです。ところが糖尿病やそれを強く疑われる人は、逆に増えています。
 引用されているのは、厚生労働省「国民栄養調査」1955-2000年の図。これこそ食文化の洋風化による脂質摂取過剰! と目の敵にされているデータ(´ヘ`;) 金に余裕の食べすぎと、文明化によるラクチン化――代謝収支の余剰が、皮下脂肪・内臓脂肪増加。そこでインスリン抵抗性が増大する生活悪習慣――それが2型糖尿病発病の根源とぐちぐち言われ続ける根拠じゃないか。
 本当に<過食>が全てかといえばいろいろ怪しいのは事実。ごく標準的悪習慣デブだった私は、たまたま悔い改めて身の丈にあった摂取量で安定したけど、主因は老化による糖代謝減退(インスリン分泌枯れ)?
 それでも、逆さに、読んじゃいけないよね。
 これだから統計は怖いのだ。せめて、議論くらいして欲しい。これでは門外漢として相手にされず、学問的進歩は起きえないだろう。
 第6章P98糖分制限についてふれた段落は悲惨だ。
では、「甘いものを食べすぎない」というのは、どの程度の食べ方をいうのでしょう。あるいは、何を食べすぎなければよいでしょうか。
 不勉強極まりない(´ヘ`;)
ここまで論じてきたことから考えると、現在、糖尿病の患者に厳しく指導されている食事制限、特に糖分の摂取制限は、むしろ糖尿病を悪化させかねない作戦です。
 あ~あ(´ヘ`;) ブドウ糖不足→セロトニン不足→ストレス増大。
 だから甘味をたくさん食べよう! 程度なら、ごまかせるだろうが、ここまで言っちゃうとなあ。
 炭水化物(糖質)カウンティングなんて、聞いたこともないんだろうね。ここまで言うなら『砂糖百科』なる本を、社団法人糖業協会/製糖工業会出版から出しちゃいけない。信頼性がゆらぐばかりだ。
 去年、東洋経済新報社がどうしようもない糖尿病治療の本を出した。ケチを付けたくても素人には手が出せない程度に著者は注意深く執筆していた。糖尿病系医師の方からの公的批判もさほどなし。無視しただけ。所詮、儲かればいいだけの株屋だし、出版は自由だ。
 でもねえ講談社さん、長年のつきあいだけどブルーバックス買うのやめたくなったよ(´ヘ`;)

1/13追記
  新宿溝口クリニックが発信する栄養療法ブログ。
 統合失調症、低血糖症、うつ病
  12/25付の記事で、別な見方で問題点の指摘をされている。
  ――良かったあ。プロが読んでも頭を痛めたなら、私もホッとする。批判的批評は疲れるのだ。
 統合失調症、パニック障害、低血糖症などの症状についての情報発信がテーマだが、実は、発病すると甘味はとりあえず禁止になるようだ……え!
 ……うまくいかないもんだ(´ヘ`;)
 詳しくは、記事をお読み下さい。私もまだ全部読んでいないが、読まないと納得行かないでしょう? ちょいと難しい内容だけど、私の文章よりストレートに書かれているから、逆にわかりやすいかも。
 いろんな栄養素があって、それぞれの微妙なバランスで人の体は動かされている。普通の代謝であれば最優先管理されるブドウ糖も、なんらかの栄養バランスの狂いで、不足が発生する? そのようなことらしい。――金属系ミネラルもそうだが、ほんの少しの量が過不足になる。この体(化学機械)は実に精密なしろものなのだ。アバウトでもあるくせにねえ……。
 ひと言では言えそうもないので、とりあえず一報。
 いずれにしろ脳が甘味を欲しがる裏付け見っけ!
 これで女子高生に混じって、堂々とクリームパフェを食べられる。

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